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HR×Data Forum セッションレポート | #9(AD)

「給与データ」が人事データ活用の第1歩になる⁈ BPOの活用で“データドリブンHR”が進みはじめる理由とは

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 近年、さまざまな背景から人事領域におけるデータ活用の重要性が高まり、多くの企業が「うちも人事データの活用を本格的に始めたい」と考えている。だが、現実的には、すぐにデータ活用を始められる状態にはなく、その前段階である「データ整備」でつまずく企業が後を絶たない。そのような中、5月27日にオンラインで開催された「HR×Data Forum」に、株式会社ペイロール 営業部 営業企画課 マネジャー 濱野 健一郎氏が登壇。給与データを起点としたデータ整備の有用性とBPOの活用法を紹介した。

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登壇者

濱野 健一郎氏

濱野 健一郎(はまの けんいちろう)氏

株式会社ペイロール 営業部 営業企画課 マネジャー

新卒でペイロールに入社し、これまで多くの大手企業に対して給与計算領域における業務改善の提案を実施。プロダクトの一つである年末調整補助サービスではセールスマネジャーとして、各社の導入を通じてDX推進を実現。同時にマーケティング・インサイドセールス・アライアンス開拓の企画・運営を行っている。

圧倒的に多い「データ分析のステージに達していない」という悩み

 濱野氏はこれまで多くの企業と会話してきた中で、「そもそもデータの整理と管理ができておらず、『分析をしたくてもそのステージに到達していない』という悩みが圧倒的に多い」と語る。つまり、データ活用の前に、まずはデータ基盤を整備しなければ、話が進まないというわけだ。

 では、なぜデータ基盤の整備が進まないのか。その壁となっているのは、「データの標準化対応の遅れ」と「データガバナンスの欠如」の2つであると濱野氏は指摘する。

 まずは前者について。多くの日本企業では、「システムは自社にあわせてカスタマイズするものだ」という思い込みが定着しており、自社特有の定義や独自のデータ保持を長年にわたって継続してしまった。おまけに、長年にわたって終身雇用や年功序列が当たり前に続いてきた中で、昇進ルールや給与体系にまで独自性を求めてきたことで、汎用的なシステムではデータ基盤を構築できないという問題が生じているのだ。

 後者は、自社の中を見渡すと実感できるのではないか。人材開発に関するデータは教育担当者が、採用に関するデータは採用担当者が、給与情報に関するデータは給与担当者が保有するといったように、役割ごとに異なるシステムを利用することで、データが散在してしまっている。その結果、人事データはどこにも集約されず、共有もされないまま、一元的に扱うことが難しい状態が生じている。

 これらの現象は、組織の役割が細分化されていることで起こりやすく、大企業であればあるほど、データ基盤整備の壁は高くなっているはずだ。この壁を乗り越えるためには、次の6つのステップでデータ分析基盤を整備するのが有効だという。

STEP1:現場のシステム整備
データの出力形式とID・マスタの統一を行う。給与・勤怠・評価システムの出力形式を揃え、社員IDの一貫性を確保する。
STEP2:ETLの設計と整備
データ抽出・変換処理の自動化を行う。抽出頻度の設計やデータ加工ルールを整理し、適切なツールを導入する。
STEP3:クレンジングルールの定義
データを分析できる状態に整える。欠損・異常値・表記揺れ処理の設計や、等級・役職・所属などのマスタを整備する。
STEP4:DWH格納・構築
統合されたデータの安定的な蓄積・再利用を実現する。給与・評価・勤怠を社員ID単位で格納し、履歴保持を設計する。
STEP5:BIツールでの可視化
データの活用を見える化し、誰もが使える状態にする。Power BIなどと接続し、各種KPIを可視化する。
STEP6:分析→施策活用までの設計
データから気づきを得て、意思決定や施策につなげる。分析結果をもとに人事施策の改善提案を行う。

人事データ整備の第一歩は「給与データ」から踏み出そう

 「STEP1のシステム整備でつまずいている企業や、データ整備の第一歩を踏み出したい企業には、給与データから整備を始めることを推奨している」と濱野氏は語る。その理由は、給与データはデータの正確性・信頼性が高く、情報連携のハブ機能も持っており、データ活用することで経営にインパクトを与えやすいからである。

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 「給与計算業務は数値に基づく処理が中心で、多くの企業では財務部門の一部で運用されるほど、定量的なデータ駆動型業務といえる。しかも給与データは社内規定や法令に基づいて厳密な管理とチェックがなされるため、正確性と信頼性が非常に高い。さらに、男女間の給与差など他の人事データと結びつけることで分析できる要素も多く、利益率に影響を与える情報でもあることから、給与計算はデータ整備における鍵だと考えている」(濱野氏)

 とはいえ、「給与データなら月次処理でデータは溜まっているから大丈夫」と考えるのは早計だ。

「アウトソーシング」がデータ活用への近道

 データが「ただ存在する」のと、「活用できる状態になっている」のとでは、大きな違いがある。

 「自分たちで活用できる状態まで持っていくのは大変だ」「そもそも活用可能なデータとはどんなものなのかもよく分からない」という企業に対して濱野氏が勧めるのが、給与データのアウトソーシング管理という選択肢である。

 アウトソーシングは、初期整備に多少のリソースが必要であるものの、実務処理に加えてマスター整備やルール設計など、一連の運用が仕組み化できるほか、給与計算以外の他領域との連携も含めた人事データ基盤を継続的に進化させやすいメリットもある。また、データ基盤のルールは、一度決めたら変更するのはなかなか難しいため、自社だけでなく第三者の目線も取り入れた設計にしておくほうが、持続可能性が高いともいえる。

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 なぜアウトソーシングを導入すればデータ整備が進むのか。さらに詳しく見ていこう。

 濱野氏は、その理由として次の3つを挙げた。

  1. マスタ統一と情報整理の統制
    BPOベンダーは統一された所属や役職の定義を要求する。給与処理の精度向上のため、ばらつきが炙り出される。
  2. 属人業務の形式知化
    「Aさんしか知らないExcelマクロ」が仕様書や設計書に再構築される。データ構造が明確になり、可視化も進む。
  3. 受け渡しと連携の標準化
    給与データの形式やスケジュール、責任範囲が明確化される。勤怠・評価など他システムとの連携体制も整備される。

 給与計算業務は特定の担当者に依存すると、ブラックボックス化しやすく、その担当者が離職すると再現が困難になるリスクがある。しかし、アウトソーシングの導入により、業務仕様の標準化と可視化が促進されるため、こうしたリスクを低減できる。

 このような「データ整備の促進」のほかに、アウトソーシングにはもう1つ「リソースの最適化」というメリットがある。毎月発生する煩雑な計算や確認業務を外部に委ねることで、人事部門はより戦略的な業務に注力できる時間を確保できるようになるからだ。

データ基盤整備とともに、データ分析スキルの獲得を

 「そもそも人事部門は定型業務の割合が非常に高く、多様化する働き方への対応やリスキリングにあてる時間の確保が難しい現状がある。せっかくデータの整備ができたとしても、それを分析できる人事スタッフがいなければ、本来の価値を引き出せない」(濱野氏)

 一方で、人事データ活用において「人事スタッフの分析・活用するスキルが足りない」ことが最も大きな課題だとする調査もある。濱野氏は、“データドリブン人事”になるためのスキルステップとして次の5つを挙げた。

  1. ピボット・関数・グラフ作成ができる「Excelマスター」
  2. 人事KPIの種類と意味を理解して指標をつくれる「KPI理解・設計」
  3. Looker StudioやPower BIを使える「BIツールの習得」
  4. パターンを見つけて仮説を立てられる「分析思考」
  5. 相関などの基本的な統計分析ができる「統計・Python」

 これらのスキルは一見ハードルが高く見えるかもしれないが、実は、時間をかけて反復練習することで、確実に獲得できるスキルでもあるという。

 「給与計算業務のような定型的なオペレーション業務は、アウトソーシングで効率化できる。そこで余った時間を、戦略企画やデータ活用、もしくはそのスキル習得のための時間にあてることで、経営に貢献できる筋肉質な人事体制を構築することが可能だ」と濱野氏は強調した。

「良いアウトソース」で企業競争力を高める一手を

 HRオペレーションをアウトソースするメリットは、データ整備の観点だけにとどまらない。「給与計算担当者・人事システム・人事システム担当者の固定費を削減できる」「社員が増えても社内体制を見直す必要がなくなる」「給与計算担当者の退職や育児休暇があっても、人材を探す心配がなくなる」など、多くの実務上の利点がある。

 だが一方で、「アウトソースには、『良いアウトソース』と『悪いアウトソース』があり、期待できる効果が大きく変わってくるので、見極めには注意が必要だ」と、濱野氏は警鐘を鳴らす。

 良いアウトソースとは、業務を標準化して、品質を担保しながらスケールメリットを生む、属人化を排除した仕組みである。逆に、悪いアウトソースは、1社専属の体制で、業務が属人化して品質にばらつきがあり、スケールメリットも生まれないものだ。

 アウトソースは人事データ活用の基盤にもなるため、「業務の継続性やスケールメリットを生み出せる体制かどうか」という観点で選定すべきなのである。

 ペイロールのサービスは、このような考え方のもと、給与規定のような個社対応が求められる業務は「カスタムサービス」として提供し、年末調整のように一律対応が可能な業務は「シェアードサービス」として分離することで、業務の継続性とスケールメリットを両立させている。

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 このように、BPOとSaaSを一体化した仕組みにすることで、人事部門の業務効率化だけでなく、分析元となるデータの集計からアウトプットまで、一気通貫で対応可能なサービスを実現している。

AIも活用して業務負荷をさらに軽減

 また、濱野氏はペイロールの新サービスである「AI給与検索サービス」にも言及。「AIによって給与情報や社員情報の検索を自然言語で行い、レポート作成まで対応できるサービスだ。人事担当者が自然言語で指示するだけで、必要なデータを自動で集計・可視化できる」と自信をのぞかせた。

 AI給与検索サービスでは、部門別や拠点別などの条件を加えることで、AIが自動的に参照すべきデータを判断し、項目一覧やグラフとしてアウトプットしてくれる。従来のように、システム設定を繰り返す必要がなく、業務負荷を大幅に軽減できる点が特長だ。

 ペイロールはこれまで30年以上の実績があり、コンビニエンスストア、回転寿司チェーン、自動車メーカー、半導体メーカーなど、260社110万人の給与計算を担ってきた。国内随一のエンドユーザー数を誇る同社だからこそ、確かな実績に基づいて人事部門をあるべき姿へと改革する支援ができるのだ。

 「グループ内でシェアード会社を保有するケースを除き、日本国内の大手企業で給与計算のアウトソーシングを導入している企業は、現時点でわずか12%にとどまっている。だが、将来的な労働人口の減少を見据えると、今後、アウトソーシングの波が加速するのは明白だ。企業競争力を高める手段の1つとして、給与計算のアウトソーシングをぜひご検討いただきたい」と語り、濱野氏はセッションを締めくくった。

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提供:株式会社ペイロール

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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