タレントマネジメントシステムを活用するには4つの壁がある
田中氏が、最後のアジェンダとして取り上げたのが「活用に向けた4つの壁と乗り越え方」だ。タレントマネジメントシステムを具体的に進めるうえで、どんな壁があり、どう乗り越えていけばよいのかを解説した。
「タレントマネジメントシステムを有効活用するには、システム設計の壁、業務設計の壁、現場活用の壁、データ活用の壁という4つの壁を越える必要があります」(田中氏)
まず、システム設計の壁とは「やりたいことをやるために、どのようにシステムを設定すればよいか分からない」というケースだ。この場合、人事部のみで必要なケイパビリティの獲得が難しいケースが多いため、現場と「タッグ」を組んで対応することを勧めているという。システム設定に求められる視点やスキルとしては、やりたいことの解像度とやり方の解像度が非常に重要となる。前者はビジネスニーズへの理解、後者はシステムへの理解と言い換えられる。
次に、業務設計の壁とは「システムを導入して利用環境の構築は完了したが、継続的な運用ができていない」というケースだ。そこは、「運用Excelの活用」と「業務フロー、業務ルールの組み立て」で対応することになる。そもそも業務設計とは、オペレーションの構成要素である「業務フロー」「業務ルール」「業務インフラ」を整合した状態にすることを意味する。「業務インフラ」がタレントマネジメントシステムそのものとなるため、ここでは「業務フロー」「業務ルール」を固めることがポイントとなる。しかも、その際にはシステム間の流れを整理しておく必要があるという。
次が現場活用の壁だ。「人事ではシステムを活用できているが現場で活用されておらず、鮮度の高いデータが蓄積されない、現場のマネジメントに寄与しない」ことがある。その際には、「現場での活用方法を定め、マネジメントアクションに寄与するように設計する」ことを推奨している。タレントマネジメントシステムの現場活用でのポイントは、いかにマネジメントアクションにつなげられるかだという。
マネジメントアクションとは、役割に応じて、どのようなときにどのようなアクションを取るべきかを整理することを指す。そのために必要なデータを集め、システムに実装・運用設計しリリースしていく。この流れを活用すれば、組織別、メンバー別の変化をダッシュボードで把握し、スコアが下がっている社員の詳細を確認することも可能となる。
最後が、データ活用の壁となる。「タレントマネジメントシステム単体では、意味のある分析結果が出ない」ケースがあり得る。その場合には、目的に応じてタレントマネジメントシステムからデータを抽出し、統計ソフトを活用して分析することを勧めている。統計ソフトでの分析結果をシステム側に戻すことで、システムの活用度が高まるいう。
講演の最後に、田中氏はこう総括した。
「これら4つの壁を越えてこそ、タレントマネジメントシステムの有効活用が可能となります。それを通して戦略人事を実現していただきたいです」

