戦略人事の重要性が語られる近年。その基盤としてニーズが高まっているのが、タレントマネジメントシステムだ。しかし、タレントマネジメントシステムを導入したものの、期待どおりの成果を導けていない企業は少なくない。そうした中、イベント「HRzine Day 2025 Summer」において、株式会社イネーブルメント・コンサルティングの代表 田中健治氏が、タレントマネジメントシステムの定着・活用を進めるための体制構築や関係者との連携、運用フェーズにおける勘所を、具体的なステップとともに解説した。本稿ではその模様をお届けする。
タレントマネジメントシステムで何が実現できるのか
講演の冒頭、田中氏は「タレントマネジメントシステムとは何か」を解説した。
「タレントマネジメントシステムは、人材管理・活用に必要な情報を収集し一元化するとともに、それらの情報を可視化し活用を実現するシステムです」(田中氏)
具体的には、社員から人事考課やキャリア希望等の情報を効率的・自動的に収集し、社内に散在するさまざまな人事関連システムの社員情報と連携・一元化することで、過去からの変化や現状と将来予測を可視化できる機能を持っている。さらには、可視化した情報に基づいて昇格対象者の選定や計画的な人材育成などに活用していける。
これを踏まえて田中氏は、タレントマネジメントシステムで実現できることを2点挙げた。
「第1に、スピーディーな意思決定や施策立案に寄与する人材マネジメントのプラットフォームとして使えること。第2に、人事システムのシステム化です」(田中氏)
第1の点でいえば、状況の把握や情報の可視化、目標の設定と各種KPIのモニタリング、各種施策の運用などを進めていく基盤としてタレントマネジメントシステムが使える。第2の点でいえば、Excelでの管理では困難なシステム上での評価表の配布や評価結果の集計、処遇反映のためのランクの読み替えが可能になる。
では、従来型の人事関連システムとタレントマネジメントシステムとは何がどう違うのか。田中氏が着目したのは、システムの利用目的と利用ユーザー、特徴の違いだ。
従来型の人事関連システムは、勤怠、給与、雇用契約などのデータ集計を正確かつ効率的に処理することを目的としているので、自ずとユーザーは人事部門がメインだ。データも定型で過去から現在が中心。情報の管理はできても可視化や評価フローの機能は備えていなかったりする。
一方、タレントマネジメントシステムは、人材の「活用」と「成長」を最大化することを目的としているので、ユーザーも経営層から一般社員までと幅広いうえに、未来情報の活用や人材・組織情報の可視化も可能となる。
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袖山 俊夫(ソデヤマ トシオ)
上智大学法学部卒。上場企業に入社し、宣伝部に在籍。その後メディア・コーディネーターとして独立。以来、多くのフリーランススタッフと案件ごとにユニットを編成し、大手新聞社グループ各社が発行する媒体のコンテンツ制作をハンドリングする。現在は、執筆業に専念。経営やHR分野を中心に、企業経営者や人事責任者、大学教授などのイン...
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