日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は、2024~2025年に入社した新入社員と新入社員を育成する上司・先輩社員の計2674名を対象に「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2025」を実施し、その結果を公表した。同調査は2016年から毎年行われており、今回で10回目となる。
今回の調査では、「現在の会社で働き続けたい」と回答した新入社員の割合が70.9%となり、調査開始以来最高値を記録した。過去20年と比較しても21ポイント増加しており、就社志向の高まりが鮮明となった。新入社員の73.8%は「今の会社の事業の中で成長したい」と考えており、組織の中で長期的に自分のキャリアを積みたい意向が強く表れた。同時に、評価については「成果や生産性」よりも「働いた時間や勤続年数」を重視する声が年々増えている。また、自律的なキャリア開発意識は2022年の89.2%から今回の調査では65.3%に減少しており、安定した雇用環境下での成長支援の必要性が指摘されている。
同調査では、新入社員側と指導者側の意識差にも注目が集まった。新入社員の48.1%は希望しない部署や勤務地への配属、いわゆる「配属ガチャ」を感じている。一方、上司・先輩社員の67.3%が「新人ガチャ」、すなわち配属された新入社員の“当たり外れ”を実感していると回答した。採用競争の激化や人材不足を背景に、現場で育成にあたる育成担当者の負担感が高まっている。実際、育成担当者が「新人指導を通じて成長を感じる」と答えた割合は59.7%で、2018年をピークに低下傾向にある。こうした現場の「育成疲労」が組織全体の課題となっている。
加えて、「デジタルネイティブ」といわれる新入社員であっても、ビジネス現場で必要となるITスキルの不足が顕著になっている。配属前後の課題・不安として、「パソコンやITのスキルがない」が上位に挙げられ、入社1年目の主な勤務先が「在宅」だった新入社員では最も大きな課題となっている。新入社員の57.7%は「生成AIの指導の方が効率的」と回答し、AI活用への順応性は高いものの、基礎的なビジネスITスキル習得の支援が急務であることが明らかになった。
同社 ラーニングマーケティング本部 本部長 斎木輝之氏は、この結果を受けて「指導者側は新入社員や若手社員に残業をあまりさせないために、自身の業務負担が増え、『育成疲労』のような状態が広がりつつあります。AIが働き方を変え、人と人の関係が再定義される中、いま求められているのは、『支援される側』と『支援する側』がともに学び合い、ともに成長する組織への転換です」と述べている。
調査概要
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:2024年から2025年に入社した新入社員、新入社員の育成に関わる上司・先輩社員
- 有効回答:2674名(新入社員1,085名、上司・先輩社員1,589名)
- 調査時期:2025年6月
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