要員計画の機動的なアップデートに向けたテクノロジー活用のすすめ
ここまで、要員計画について紹介してきましたが、要員計画は「つくって終わり」にせず、要員計画そのものを継続的かつ機動的にアップデートし続けていく必要があります。特にAI時代においては、絶え間なく変化するビジネスニーズや急速な技術進歩によって、期初に想定していた業務内容、業務量、必要となるスキルは期中にも変化し続けます。その結果、計画策定時の前提と実態との間に乖離が生じやすくなるため、要員計画の機動的なアップデートが求められます。
しかしながら、機動的に要員計画をアップデートできている企業はほとんど見受けられないのが実情です。その原因をひも解いてみると、大きく次の3つに集約され、そのいずれもテクノロジーを活用した解決が有効です。
特に近年では、人事情報の管理に加えて、組織変更に伴う人員配置やスキル管理をリアルタイムで実施し、データドリブンな意思決定を支援する人事システムも増えてきています。人とAIの協働体制を前提に、テクノロジーや人事システムを活用して要員計画を“つくる”から“最適化し続ける”ものへと進化させることが肝要です。
従業員にとって魅力的なビジョンの提示
加えて忘れてはならないのは、従業員の受け止め方です。AI導入を半ば強制的に進めたり、効率化のメッセージだけを前面に出したりしてしまっては、「AIに仕事を奪われるのでは」という不安が従業員に先行し、組織的な改革は進みません。AI導入による成果を最大限刈り取るためにも、「AI時代の新たな働き方に関する魅力的なビジョン」を提示し、従業員目線に立ったメッセージを発することが重要です。
たとえば、業務量削減を通じた労働時間の短縮(週休3日制の導入[1]など)や、やりがいを感じる高付加価値業務へのシフトなどを通じて、AI導入が従業員のウェルビーイング向上にもつながるといった、従業員にとって前向きな内容が望ましいと考えられます。従業員の納得と共感を得ることが、結果的にはAI活用による成果の刈り取りの後押しとなります。
注
[1]: 生成AI導入によって期待できるもう1つの効果である「B:効率化」という観点では、従来からの手法である採用減少やリストラに加え、週休3日制(4 days week)といった新しい働き方も登場しています。これは単なる効率化にとどまらず、従業員のウェルビーイング向上にも資する取り組みとして注目されています。
まとめ:AI戦略と人材戦略の連動を通じたAI活用の成果の刈り取り
今回取り上げたような世界観は近いうちに到来し、そしてすぐに目新しさを失ってしまうほどのスピードで、AIは進化しています。企業の競争力の源泉の1つがAI活用となる中で、AI活用の成果を可視化し、成果を刈り取っていくことが求められます。そのためには、次図のように、AI戦略と人材戦略、そしてそれぞれの戦略の実現に資する取り組みを、対となるように進めていくことがポイントです。
本稿でご紹介した考え方が、多くの企業において実践され、企業・従業員ともに、AI活用の成果を最大限に享受できることを切に願っております。

