生成AI導入で期待される「2つの成果」とは?
そもそも生成AIの導入を通じて期待できる「成果」とは何でしょうか。業務削減によって生じた「余剰工数」をどこへ振り向けるかによって、得られる成果は次の2つに大別されます。
- A:効率化採用抑制・リストラ、残業時間削減など、短期的なコスト(人件費)削減につなげる
- B:高度化削減できた工数を“付加価値の高い仕事”へと振り向け、長期的な競争力強化や企業価値向上につなげる
今後のAI戦略においては、「効率化」と「高度化」をどのように組み合わせ、余剰工数という資源をいかに再配分するかという点が重要となります。
成果の可視化ツールとしての「要員計画」
AI導入による成果を最大限に引き出すためには、AI戦略と人材戦略の連動が欠かせません。AI戦略は、「A:効率化」の場合には要員数や労働時間の削減、「B:高度化」の場合には人材のリスキルや配置転換といったように、いずれも最終的には人材面での施策や成果に結び付きます。そのため、AI戦略と密接に連動した人材戦略を描き、並行して進めていくことが求められます。
しかし、多くの企業が陥りがちなのが、「採用抑制」「リストラ」「リスキル」「再配置」といった施策が個別最適に走り、全体として整合性がとれなくなってしまう事態です。
このような事態を防ぎ、各種施策に一貫性を持たせる強力なハブとなるのが、人材戦略の中核を担う「要員計画」です。
ありがちな誤解ですが、要員計画は単なる「将来の人数計画」にとどまりません。事業計画とひも付けながら、「どの組織・業務に対して、どのようなスキルを持った人材を、どの程度配置すべきか」を整理したものです。要員計画を作成する中で見えてきた各組織の役割分担や必要人数をもとにすることで、各種施策に対する統一見解を見いだすことができるのです。
たとえば、従来は1000人で100億円規模の業務を行っていた1つの組織が、800人+“AI200人”で200億円の事業を目指す場合、800人の高度化と200人の再配置を行わなければなりません。必要な人材の量と質の変化を受け、「どの業務を再設計するのか」「どの人材を高付加価値業務へと移行して1人当たりの売上を向上させるのか」「どの領域でリスキルが必要なのか」といった判断を行うことになります。
要員計画として、「どのようなスキルを有する人材がいつまでに何人必要か」という全体設計があることで、同じ方向に向かって各種施策を進めることが可能となります。
そしてAI活用の文脈で要員計画を再定義すると、要員計画とは、AI戦略として描いた将来像を実行可能な形に落とし込み、成果を人材の観点から設計・可視化したものと表現できるのではないでしょうか。すなわち、要員計画はAI戦略が絵に描いた餅で終わらないように成果を刈り取るための、マネジメントツールの役割を果たすのです。

