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未来へ駆動する「戦略人事」のヒント:AI時代の人・組織・制度を考える | 国産システムとグローバルパッケージ併用の重要性

給与システムは国産、タレマネは海外製 「人事システムのいいとこ取り」が進む理由と成功のポイント

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では、それらを併用するうえで重要なことは何か

 前述の状況を考えると、日本の大企業(特にグローバル企業)が「日本ローカルの給与業務」と「ジョブ型を含むグローバルタレマネ」をシステム化したいと考える場合は、高い確率で国産パッケージと海外パッケージを併用することになるはずです。

 ここからは、システム導入の手法に関する内容が大部分を占めますが、その「併用」において最も大事なことの1つは、可能な限りユーザーが両者の違いを意識せずに済むよう機能配置やデータフローを設計することだと考えています。

 実際にはメーカーもシステム設計思想も異なる2つのパッケージを完全シームレスに使ってもらうことなど不可能ですが、利用者目線で見たら「〇〇業務はこちらのシステムを使い、別の△△業務はあちらのシステムを使う」というようなことを常に意識しながら日々の業務を推進することはストレスフルだと感じるでしょうし、私がユーザー企業の人事業務担当者ならば、両者のすみわけには直感的なわかりやすさを求めるでしょう。

 この直感的なわかりやすさのために、人事領域の各業務の業務プロセス(≒業務フロー)を精緻に定義して、その一連の工程は同一のシステムによる処理とすること、仮にそれが難しい場合でも業務フローの担当レーンで見たときに同一の担当者が複数のシステムを使わないようにすることをまず考えます。

 加えて、データの流れも統一すべきです。これはシステム構築の経験がある方ならば当然のように意識されることだと思いますが、異なる複数のシステムを導入する場合には、データの上流/下流を定義し、極力例外をつくらないで、入力元を上流のシステムに集約したうえでインターフェースなどのシステム処理を使って下流のシステムへ連携していくのが重要です。これによりユーザーが社員データなどの“元情報”を登録する入り口を1か所に統一するという大原則を守っていくことが肝要となります。

 上記の利用者目線に加え、導入者目線で見れば、(海外の)ジョブ型vs(国産の)メンバーシップ型というシステムの違いを強引に連携してシステム構築する訳ですから、両パッケージ間の異なるコード体系やマスターをマッピングする設計なども当然重要です。ただし、これらはすでに多くの場所で語られている内容でもあるためここでは割愛します。

この状況はいつまで続くのか

 最後に、「日本ローカルの給与業務」と「ジョブ型を含むグローバルタレマネ」を組み合わせるために海外パッケージと国産パッケージの併用が求められる、という状況がこれからどうなっていくのかを予想したいと思います。

 私個人の意見としては、将来においてもこの状況は変わらないのではと考えています。もし変わるのであれば「前者も後者も国産パッケージがカバーする」という流れであろうとは思うものの、いまのところその気配はないからです。

 というのは、私の記憶の範囲では少なくとも今から5年前には「ジョブ型」という言葉は日本でも使われており、人事システムの周囲でも耳にしている概念でしたが、国産パッケージがその設計思想にジョブ型を取り入れる傾向はみられないからです。日本企業においては、グローバル進出している一部の大手を除けば、「ジョブ型」が取り入れられる可能性が高いとはいえず、ゆえに国産パッケージベンダーもその領域にスピード感のある投資を行う可能性は低いのではないでしょうか。

 そのため、「国産人事システムとグローバルパッケージ併用の重要性」はこれからも続くと考えられます。

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この記事の著者

大日方 亮(オビナタ リョウ)

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 People Consulting Director
東京工業大学 工学部卒。日系Sier、外資系コンサルティングを複数経て現職。EYでは、大規模人事システム刷新プロジェクトを中心にクライアントのDX推進支援に従事。
 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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