イーサネット
では、イーサネットについて見ていきましょう。イーサネットの主な役割は、同一ネットワーク内でデータを転送することです。具体的には、あるイーサネットインタフェースから、それと同一ネットワーク内にある別のイーサネットインタフェースへ、データを転送します。OSI参照モデルでは物理層~データリンク層[5]の規格(プロトコル)に該当します(本連載の第1回を参照)。
イーサネットが果たす役割はこれだけ(同一ネットワーク内でデータを転送することだけ)です。CCENT試験には直接関係しませんが、これはネットワークの仕組みを知る上で大切なポイントです。
次の図3は、イーサネットによるデータ転送の概要を表しています。
PCとPCとの間(正確にはそれぞれのPCのイーサネットインタフェースの間)で行うデータ転送を、レイヤ2スイッチが仲介しています。同じレイヤ2スイッチに接続されているPCは、同一ネットワークに接続されていることになります。なお、PCのイーサネットインタフェースが直接つながっているのはレイヤ2スイッチのイーサネットインタフェースですが、これは意識する必要はありません。
こうした同一ネットワーク内のイーサネットインタフェース間のデータの転送を行うために、次のような決まりごとがイーサネットの規格として定められています。
物理層レベル
- 利用するインタフェースの形状
- 利用するケーブル
- 「0」「1」のデジタルデータと物理信号の変換方式
データリンク層レベル
- イーサネットインタフェースの特定(MACアドレス)
- データのフォーマット(フレームフォーマット)
- 伝送媒体(ケーブル)のアクセス制御(CSMA/CD)
イーサネットには、通信速度や利用するケーブル、インタフェースの形状などに応じて、100BASE-TX、1000BASE-Tなど、さまざまな規格があります。イーサネットの規格の種類は、物理層レベルの決まりごとに大きく関わっています。
そして、データリンク層レベルの決まり事として、データを転送する際のイーサネットインタフェースを特定するためのMACアドレスがあります。また、イーサネットでやり取りされるデータのフォーマット、すなわちフレームフォーマットも定められています。さらに、伝送媒体(LANケーブル)にデータをどのようなタイミングで送信するかという、アクセス制御の方式も定められています。イーサネットでは、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)と呼ばれるアクセス制御方式が採用されています[6]。
注
[5]: TCO/IPではネットワークインタフェース層に該当。
[6]: 以前のイーサネットの構成では、1本の伝送媒体を複数のホストで共有し利用していたため、CSMA/CDの制御が必要でした。しかし、現在では伝送媒体を専有して使えるので、CSMA/CDの制御を考慮する必要はなくなっています。