クレディセゾンは、長年重要な業務を担ってきたベテラン社員の知見や経験を可視化し、AIツールを通じて組織全体の資産とする新たな人材活用プロジェクトを5月から本格的に開始する。
この取り組みは、同社が2025年9月より推進している「Credit Saison AI Transformation(CSAX)」戦略の一環。CSAXは全社員3700人を対象にAI活用を標準化し、2027年度末までに累計300万時間の業務削減を目標に掲げている。今回のプロジェクトは、個人が有する暗黙知を組織全体で共有できる資産に変換することを目的とする。
背景には、生成AIの普及による業務効率化の進展とともに、判断根拠の不透明化や若手社員のAI依存といったリスクの顕在化、日本企業の高齢化や2026年の在職老齢年金制度改定によるベテラン層の就業機会拡大がある。クレディセゾンでは、ベテラン層のノウハウこそがAI活用の質を高め、組織の競争力強化や人材育成につながると位置付けている。
プロジェクトでは、CSAX推進担当が各部門のベテラン社員と協力し、属人的な業務の整理および可視化を進める。個人の経験や勘に基づいた判断プロセスを言語化し、AIを活用できる業務プロセスへと再設計することで、組織全体で知見を共有し再現性を高める。これにより属人化を解消しつつ、判断の標準化と意思決定の高度化を図る。業務の可視化に際しては、必要に応じてAI以外の最適な手法も検討・導入する。
初年度は希望部門から選出された50代を中心とした10名のベテラン社員が対象となる。知見の抽出作業は2026年5月から開始され、同年10月には成果を共有する全体報告会と全社展開に向けた提言が予定される。
同社 取締役(兼)専務執行役員CDO(兼)CTOの小野和俊氏は「生成AIは若手社員には親和性が高いが、ハルシネーションなどの課題もある。ベテラン社員の実務経験に基づく洞察はAI活用に不可欠であり、今回の取組みで世代を越えた価値創出を目指す」とコメントしている。
今後、全社的な展開を進める方針で、ベテラン社員による知見の組織共有と次世代人材育成の仕組みを構築し、業務効率化や意思決定の高度化による新たなイノベーション創出を目指す。
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