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急拡大で成長痛に苦しむ組織運営を救った新組織CSEと2つのシステムTeams/Reviews――メルカリ 衣川憲治氏

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 フリマアプリ「メルカリ」で急成長を続けている株式会社メルカリ。同社では、自社の人事管理や評価制度などを改善するための新組織「Corporate Solutions Engineering(以下、CSE)」を2018年1月に発足させた。サービス利用者の急増とともに拡大・複雑化していく自社組織に、一時は「破綻するのでは」とまで危機感を募らせたことが背景にある。この難事をCSEはどう乗り切ったか。それを支えた取り組みとは。CSE立ち上げメンバーの1人である同社 衣川憲治氏に聞いた。

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ビジネスと組織の成長スピードに、人事や組織が追いつけないという危機感

――CSEの立ち上げの背景に関する記事の中で、「組織のきしみ」や「このままいくと組織が破綻する」という切迫した表現を使われていました。そこまで危機感を抱かざるを得ない状況というのは、具体的にどんなものだったのでしょう。

 メルカリのビジネスが成長していく一方で、メルカリで働く人の数も急激に増え続けています。もちろん、これまでもコーポレートサイド(人事や総務といった管理部門)では、業務の生産性を上げるために様々なサービスやシステムを導入してきました。しかし、社員数が増えるにつれ、いくつかの業務は複雑さが指数関数的に増えてきました。

 そのような状況にあった2017年秋、CSEの前身であるCET(Corporate Engineering Team)を立ち上げた柄沢聡太郎(現Corporate Solutions Engineeringマネージャー)と社長の小泉で話し合ったところ、「このまま組織が成長し続けると、会社の仕組みや運営はどんどん厳しくなっていくだろう」という見解で一致したのです。

 具体的な問題としては、例えば、いくつもあるシステム間の連携。今までは、CSVファイルを介して人手で行っていました。また、人員の管理もスプレッドシートでやっていたので、社員の増加や異動に追いつけず、人事のマスターを含めどれが最新のデータか正確に把握できなくなることがいつ発生してもおかしくない状況でした。「これはかなりまずい!」という危機感が管理者全員にありました。

衣川 憲治氏
衣川 憲治(きぬかわ・けんじ)氏
株式会社メルカリ ソフトウェアエンジニア。
バンダイでロボットの研究開発後、IPA未踏IT人材発掘・育成事業に採択。その後、ミクシィ、ヤフーにてスマートフォンアプリケーションの開発、新規事業立ち上げを担当。2015年に株式会社Subotを設立、スケジュール調整サービス、人事業務効率化サービスの開発を行う。2018年にメルカリに入社、Corporate Solutions Engineering Team所属。趣味はガンプラ組み立て。

――組織の実態が正確に把握できないのは、とりわけ人事管理には大きな問題ですね。

 一方、人事評価についても課題が顕在化してきていました。組織が増えれば、その分レポートライン(この人の担当マネージャーは誰という評価ライン)も増えますが、組織が流動的だったため、不明瞭になる場面もありました。

――ビジネスの成長速度が、それを支える人や組織を追い越してしまっていたのですね。

 拍車をかけたのが、メルカリならではの前向きな企業風土です。必要であると判断されれば、大胆な組織変更も躊躇せずに行われます。また、原則として 「メンバーが8人以上になったらチームを分ける」基本ガイドラインがあるため、チームの数もどんどん増えていきます。

 あと、評価制度も「絶対評価」を採り入れています。全員の中での相対的な評価ではなく、市場におけるその社員自身の価値を評価するのですが、これも大変でした。40~50あるチームで行った各メンバーの評価に対し、複数の上長でキャリブレーション(調整)を加え、最後に経営陣が確定させるという評価フローを、当時はスプレッドシートで管理していた。2017年の時点で、これはもう来年には限界が来ると感じ、根本的な改革に着手しました。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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