同調査 2020年版発表のニュースがこちらにあります。
米グローバルナレッジは、エンジニアの給与と保有するIT関連資格について2011年より毎年調査を行い、その結果を発表している。同社によれば、2019年版のランキングからは次のような事実が見て取れるという。
- ランク入りした資格のうち11個は、昨年もランクインしていた
- セキュリティ分野の資格は、昨年の6つから5つへ減少
- クラウド分野の資格は、昨年の2つから4つへ増加
- プロジェクトマネジメント分野の資格は、2つランクイン
- ネットワーク分野の資格は、2つランクイン
- AWS、ISACA、CompTIAは、それぞれ2資格ずつランクイン
- 2つのCompTIA資格はいずれも今年新たにランクイン
- 人気の観点から見た場合、このリストでのトップは(本サーベイに回答した)資格保持者が568名にのぼったCISSP。以下、ITIL、CompTIA Security+、AWS認定ソリューションアーキテクト、PMPが続く
今年の最も大きな変化は年収額のアップだ。昨年の同ランキングと比較した場合、全体平均で12.2%の増加。トップ5に限れば15.7%も増加した。昨年のトップ「公認ITガバナンス専門家(CGEIT)」は12万1363ドルだったが、同額では今年はトップ5にも入らない。
大幅に年収額を伸ばした今年のトップ5だが、クラウド関連資格が3つ、プロジェクトマネジメント関連資格が2つと、現在強い資格の傾向がはっきり現れた。1位の「Google Cloud Certified - Professional Cloud Architect」は初登場でいきなりトップだ。「認定スクラムマスター」は昨年8位から3位へジャンプアップ。「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)」も着実に順位を上げた(3位→2位)。AWS関連2つの資格もランクを下げたとはいえ、トップ5を維持している。
もう一つ特徴的なのは、ランクインしたのが必ずしも高度な資格だけはないこと。7位の「ITILファウンデーション」や13位の「CompTIA Security+」、14位の「CompTIA Network+」はいずれもエントリーレベルの資格である。また、12位に「Citrix Certified Associate - Virtualization(CCA-V)」が入っているが、昨年は一段レベルの高い「Citrix Certified Professional – Virtualization (CCP-V)」がランクインしていた(年収額は今年の前者のほうが高い)。考えられる理由として、今年のサーベイでは非エンジニアで高収入な人が多く回答を寄せたことなどがあるだろう。
発表されたTOP 15の資格は次のとおり。
トップ3の資格試験概要
1位の「Google Cloud Certified - Professional Cloud Architect」は、Google Cloud Platform(GCP)を使い、スケーラビリティと高可用性を備え、堅牢で安全なソリューションを設計・開発・管理できることを認定する資格。試験では、「クラウド・ソリューション・アーキテクチャの設計と計画」「クラウド・ソリューション・インフラストラクチャの管理とプロビジョニング」といった能力が評価される。試験は、KRYTERION社が運営する試験会場で受けられる。受験条件はなく、日本語での受験も可能。模擬試験も用意されている。試験時間は2時間。
なお、Google Cloud Certified資格には、そのほか、エントリーレベルのAssociate Cloud Engineerや、プロフェッショナルレベルのProfessional Data Engineer、Professional Cloud Developer、Professional Cloud Network Engineer、Professional Cloud Security Engineerなどがある。
2位の「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)」は、PMI(Project Management Institute)が運営する資格制度。産業に依存せず、あらゆるプロジェクトを遂行できる専門性を認定する。プロジェクトマネジメントに必要な知識体系(PMBOK:Project Management Body Of Knowledge)をベースに、試験ではプロジェクトマネジメントのライフサイクル(立ち上げ、計画、実行、監視コントロール、終結)の理解を問う。取得には、35時間のPMP関連トレーニングの受講、4500時間以上(学士号以上を持つ場合)のプロジェクトマネジメント経験という条件も満たさなければならない。また、取得後も3年サイクルで講義を受けるなどしてPDU(Professional Development Units)を60ポイント以上取得し、資格の更新手続きを行う必要がある。
3位の「認定スクラムマスター」は、アジャイル開発手法の1つであるスクラムにおいて、チームのパフォーマンスを引き出すスクラムマスターとしての能力を育成し、認定する資格。Scrum Allianceが運営している。取得には、認定スクラムトレーナー(CST:Certified Scrum Trainer)が開催する16時間の研修を受講する必要があるが、受講者の声を聞くと、この研修に非常に高い価値があるという。試験(Webテスト)は研修受講後に受ける。50問出題され、37問に正解すると合格となる。資格の有効期限は2年間。資格を維持するためには、2年の間にWebセミナーの視聴やアジャイルコミュニティへのボランティア参加、イベント「Scrum Gathering」への出席などで得られるSDU(Scrum Education Units)を40ポイント以上取得する必要がある。
なお、認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster)には上位資格として、Advanced Certified ScrumMaster、Certified Scrum Professional - ScrumMasterがある。
本レポートの全文は、米グローバルナレッジの発表ページ(英語)を参照のこと。