サブネッティングのための計算のポイント
サブネッティングしてネットワークアドレスを複数に分割するための計算は、CCENT試験で頻出しています。素早く計算できるようにしておきましょう。計算のポイントは「ネットワークアドレスがどのように変化するかを考えること」です。
サブネットのネットワークアドレスは「ネットワーク部の右端に位置するビットの位の数」ごとに変わっていきます。例えば、ネットワーク部の右端が27ビット目(28ビット目からホスト部)の場合、このビットはネットワークアドレスの第4バイトの上から3ビット目に当たり、10進数で表すと「32」です。そのため、この場合のサブネットのネットワークアドレスは、0、32、64、……と32の倍数で変わっていきます。
つまり、サブネットのネットワークアドレスは、ネットワーク部の右端にあるビットに着目すれば簡単に求められるわけです。
なお、サブネットマスクの表記は、IPアドレスと同じように10進表記のこともあれば、/
の後に連続した1
の数を示すプレフィックス表記のこともあります。10進表記、プレフィックス表記のそれぞれで、ネットワーク部の右端にあるビットが(そのビットを含むバイトの中で)表す数を素早く判断するために、次表のパターンを覚えておくと簡単です。
サブネットのネットアークアドレスの求め方
では、サブネッティングされたサブネットのネットワークアドレスを簡単に求める手順を説明しましょう。サブネットマスクが10進表記とプレフィックス表記の場合に分けて考えます。
10進表記のサブネットマスク
- サブネットマスクの中で「255」でも「0」でもない数値に注目する
- 「255」でも「0」でもない数値が対応する位の数を判断する
- 0を含む位の数の倍数をネットワークアドレスとして列挙する
プレフィックス表記のサブネットマスク
- ネットワーク部とホスト部の区切りがサブネットマスクの第何バイトの、何ビット目にあるか(位)を調べる
- 対応する位の数を判断する
- 0を含む位の数の倍数をネットワークアドレスとして列挙する
例1:サブネットマスクが10進表記の場合
192.168.1.0のネットワークアドレスを255.255.255.192でサブネッティングしたときの、サブネットのネットワークアドレスを求めてみましょう。サブネットマスクは10進表記で、第4バイトが192です。また、ネットワーク部の右端に位置するビットが表す数は、表4に照らして調べると「64」だと分かります。
したがって、192.168.1.0のネットワークアドレスを255.255.255.192でサブネッティングしたときの、サブネットのネットワークアドレスは次の4つになります。
- 192.168.1.0
- 192.168.1.64
- 192.168.1.128
- 192.168.1.192
こうしてサブネットのネットワークアドレスを求めると、ブロードキャストアドレスもすぐに分かります。ネットワークアドレスから-1すると、1つ前のサブネットのブロードキャストアドレスです。例えば、サブネットのネットワークアドレス192.168.1.64から-1すると、192.168.1.63です。これは、192.168.1.64の1つ前のサブネットである192.168.1.0のブロードキャストアドレスです。
ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスが分かれば、そのサブネットで利用可能なIPアドレスもすぐに分かります。ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの間にあるのがそれです。例えば、ネットワークアドレスが192.168.1.0であるサブネットでは、ブロードキャストアドレスは192.168.1.63ですから、その間にあるIPアドレス「192.168.1.1~192.168.1.62」を、このサブネットに接続しているホストなどに割り当てられます。
この例の4つのサブネットについて、ネットワークアドレス、サブネットマスク、利用可能なIPアドレスの範囲、ブロードキャストアドレスをまとめると次表のようになります。
例2:サブネットマスクがプレフィックス表記の場合
プレフィックス表記の場合の例として、ここでは、172.16.0.0のネットワークアドレスを/19のサブネットマスクでサブネッティングしたときの、サブネットのネットワークアドレスを考えます。
まず、ネットワーク部とホスト部の区切りが、サブネットマスクの第何バイトの何ビット目にあるのかを調べます。サブネットマスク「/19」では1
が左端から19個並んでいます。そのため、ネットワーク部とホスト部の区切りは、19=(8ビット×2)+3ビットとなり、第3バイトの3ビット目までがネットワーク部、第3バイトの4ビット目以降がホスト部だと分かります。またこのとき、ネットワーク部の右端のビットが表す数は「32」です。つまり、3バイト目が0も含めた32の倍数で変化します。
したがって、サブネットのネットワークアドレスは次のようになります。
- 172.16.0.0
- 172.16.32.0
- 172.16.64.0
- 172.16.96.0
- 172.16.128.0
- 172.16.160.0
- 172.16.192.0
- 172.16.224.0
そして、例1と同じように各サブネットで利用できるIPアドレスの範囲とブロードキャストアドレスまでまとめると、次表のようになります。