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コミュニケーション力やマネジメント力がなくても大丈夫な組織の作り方 | #2

マネジャーを「言いにくいことを言うこと」から解放する

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 マネジャーのマネジメント能力不足は、多くの企業で共通の悩みとなっているようです。とはいえ、マネジャーの育成は容易ではありませんし、時間もかかります。どうすればよいのか――この連載では、そうした課題を抱える組織でも運営を滞りなく進めるためのヒントを紹介していきます。今回のテーマは、マネジャーに大きな負担がかかる、メンバーへの「ネガティブフィードバック」をどうするかです。

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できないことを要望しても仕方がない

 前回、マネジャーのマネジメント能力のなさを嘆くのではなく、その障害を除いたり、サポートをしたりすべきだというお話をしました(こう書くと極めて当たり前ですが)。今回はその「障害」となっているもののうち、マネジメント業務と呼ばれている仕事のうち、「そこまでは要求しないほうがよいのではないか」と思われる仕事について考えてみたいと思います。理想としては当然ながらマネジャーがするべき仕事であっても、それを外してあげることで、あまりマネジメント力がないマネジャーでもちゃんと機能するという仕事は何かということです。理想は理想。できないものは仕方がないと考えてみるほうが現実的です。

マネジメントは大きく2つに分けられる

 さて、ではどんな仕事を外してあげればよいかを考えていきます。まず、マネジャーの仕事を大きく整理すると2つに分かれます。「タスクマネジメント(業務やプロジェクトの進捗のマネジメント)」と「ピープルマネジメント(メンバーのモチベートや育成、評価などの人のマネジメント)」です。どちらが大変かは、人によって得意領域が違うので一概には言えませんが、多くの場合はピープルマネジメントです。人のマネジメントが三度の飯よりも好きという人もいるでしょうが、それはかなり稀です。感情ある人を動かすよりも、物言わぬタスクを動かすほうがまだ楽ということです。

それぞれのマネジメントに必要な力

 タスクマネジメントとピープルマネジメントの難易度が異なるのは、それぞれのマネジメントに求められる能力やスキルが違うからです。

 タスクマネジメントに求められるもののコアは、論理的思考能力と専門知識です。論理的思考能力によって事業をどんどん細かいタスクに分解して、それぞれのタスクを専門知識によって解決していくのがタスクマネジメントです。

 一方、ピープルマネジメントのコアは、想像力とコミュニケーション能力です。想像力によって自分とは異なる他者の心情を理解して、できるだけ良い状態に持っていくためにうまくコミュニケーションを取るのがピープルマネジメントです。

まず、ピープルマネジメントから軽減する

 この「論理&知識」と「想像&コミュニケーション」のどちらが難しいかは人によって違いますが、前者は努力によって後天的に獲得しやすいものであるのに対し、後者は長い生育史の中で巧拙が決まれば大人になって変えることが難しいものです。このため、結果として、ピープルマネジメントが不得意な人が多いのでしょう。つまり、なかなかうまくマネジメントができていないマネジャーたちから最初に外してあげるべき仕事とはピープルマネジメントです。

最も難しい仕事はネガティブフィードバック

 ただ、ピープルマネジメントは、組織全体として結局は誰かがやらなくてはならないものですので、どこまで外すか優先順位を決めなくてはなりません。最も難しい仕事を最初に外してあげるべきですが、それは「ネガティブフィードバック」です。メンバーとのコミュニケーションの中で、褒めるほうのポジティブフィードバックは苦手という人は少ないでしょう。しかし、低い評価を伝えたり、改善を要望したり、場合によっては叱責したりするネガティブフィードバックは、世界でも最高レベルで直接的なネガティブフィードバックが嫌いな日本人においては最高難易度の仕事です。これを外せばマネジメントはかなり楽になります。

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この記事の著者

曽和 利光(ソワ トシミツ)

1995年京都大学教育学部教育心理学科卒業。同年株式会社リクルート入社。人事部にて採用・教育・制度・組織開発等の担当、HC(Human Capital)ソリューショングループでの 組織人事コンサルタントを経て、人事部採用グループのゼネラルマネジャーとして最終面接官等を担当。2009年ライフネット生命...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/1738 2019/07/01 06:00

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