「42」は、フランスの事業家ザヴィエ・ニエル氏が個人資産を投じて開いた学校。フランスの教育や雇用の閉塞感を憂いたことが動機といい、学歴等不問で16歳以上なら誰でも入学資格がある。校舎は24時間365日開いていて、生徒は自分のライフスタイルに合わせて通うことができる。2013年パリで開校、2016年にシリコンバレー校が開かれ、現在は12か国で展開されている。
テキストなどを使った授業はなく、与えられた課題を自力、あるいは友人と協力して解いていく課題解決型のカリキュラム。さらに、解いた課題はランダムに指定された他の学生に答え合わせをしてもらう。これにより、エンジニアに求められる課題解決力とともに、他人に自分の仕事を理解してもらう説明能力、コミュニケーション能力などが養われる。課題は、IT先端企業がセキュリティの問題など、新しい課題を世界各地から追加していく仕組みで、最新の教材が常に揃うという。
課題を解くとポイントを生徒に与えられ、「レベル」がアップしていく。レベルは0から始まり、最高が21。フランスではレベル7~10になると、エンジニアとして一人前に知識が身に付いているといわれている。
ただし、入学するには、4週間の入学試験(ピシン。フランス語でスイミングプールの意味)にパスする必要がある。試験と格闘する中で、受験生は入学後も自力で課題に取り組んでいける知識を身に付けるとともに、そのモチベーションを試される。なお、この試験も自由な時間に校舎へ来て受けることができる。
初年度の入学試験は最大約300名で3回実施される。実施日は、第1回が2020年1月6日(月)~1月31日(金)、第2回が同2月3日(月)~2月28日(金)、第3回が同3月2日(月)~3月27日(金)の予定。入学者は150名以上を見込む。
校舎は、東京・六本木の住友不動産六本木グランドタワー 24階にあるDMM.com社内のフロア。授業料は無料。入学は2020年4月の予定。
なお、DMM.comでは同校の運営のため、5年間で50億円の予算を見込んでいるという。それだけの予算を用意してまでも42 Tokyoを開く理由について、同社 取締役会長の亀山敬司氏は「最近は東京大学を卒業した人など優秀層が入ってきていますが、DMM.comはもともと学歴などがなくても実践の中で勉強し成長できる土壌のある会社」であることに触れつつ、「お金などがなくてもやる気さえあれば一流のプログラミング教育を受けられる」同校のあり方に共感したことを挙げた。また、他の事業とは異なり、同事業で利益を上げるつもりはないとし、「こうした取り組みもかっこよくてモテるかなと考えた」と同氏らしくおどけて述べた。
42 Tokyoの協賛企業(2019年11月現在)
アシスト/アステリア/アマゾン ウェブ サービス ジャパン/大阪ガス/サイバーエージェント/サイボウズ/さくらインターネット/JapanTaxi/Japan Digital Design/デル/ドワンゴ/日本航空/バスキュール/パーソルホールディングス/ビズリーチ/文藝春秋/ミクシィ/メルカリ/ヤフー/楽天