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応募者への電話に魂を込めているか? 地方の小さなホテル業者が人材を惹きつけているわけ

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2020/12/02 06:00

 地方でたった2つのビジネスホテルを経営していた株式会社サン・クレア。生き残りをかけて新しいホテル像を追求し始めた同社は、2020年12月には6つめ、7つめとなる2つのホテルを開業する。それを可能にした1つの要因は果敢な人材採用だ。具体的にはどのような施策を実行してきたのか。同社の執行役員でひとり人事を担当している栗田康二氏に聞いた。

ホテル事業はまち創りとともに

――サン・クレアの事業について教えてください。

 サン・クレアは2015年10月の設立です。現代表である細羽(雅之氏)の父親が主事業であるデニム生地製造の傍ら、経営の多角化の一環で始めたビジネスホテル事業がその基礎となっています。当時の会社は、1980年代に海外の安い製品に押されたデニム生地製造で多額の負債を出してしまい、事業の整理・売却を余儀なくされたのですが、銀行に掛け合って残してもらったのが、広島県福山市と愛媛県宇和島市にあった2つのビジネスホテルでした。

栗田 康二氏
栗田 康二(くりた こうじ)氏
株式会社サン・クレア 人事・執行役員
大手人材サービス企業にて、人材紹介サービスを用いた企業の採用支援、個人の転職支援に携わる。その後、求人広告や人材紹介サービスなどの、企業側にとって「待ちの採用手法」だけではない採用支援にチャレンジしたく、ITベンチャー企業に転職。企業規模や業種、事業フェーズの違いを問わず、幅広い顧客を担当。2018年11月、会社初の人事として株式会社サン・クレアにジョイン、1年間で50名の採用活動をリード。ビジネスSNS「Wantedly」も活用し、県内外より8名の採用実績がある。

 ビジネスホテル経営に専念するようになってから、さまざまなトライ&エラーを繰り返してきたのですが、2015年になり、ようやく新しいチャレンジができるようになったところでサン・クレアの設立となりました。目指したのは、単に寝泊まりするだけではないホテル創りです。これは、例えば海外のお客様にも選んでもらえるような、特徴のあるホテルをつくっていかなければサン・クレアは生き残れないという、細羽の考えによるものです。

 さらに現在は、単にホテルを経営するのではなく、自治体や地元の人々・企業などと連携した「まち創り」という取り組みにシフトしてきています。今、弊社で最も注力しているのが、愛媛県北宇和島郡松野町の滑床渓谷で2020年3月に開業した「水際のロッジ」です。このロッジはもともと松野町が運営していたのですが、営業に苦戦されていた上、2018年の西日本豪雨でロッジに通じる唯一の道が不通となり、営業できなくなっていました。そこで弊社が民間譲渡を受けたわけですが、同町としても誇りを持っていた場所ということで、弊社だけが利益を上げるのではなく、松野町全体の活性化にも貢献する方向で運営しています。

 例えば、水際のロッジの開業前に、同町で約50年の歴史があったイングリッシュキャンプの復活を支援しました。子供たちを集めて英語漬けの中、数泊のキャンプを行うイベントで、英語の先生であるボランティアの方々の高齢化などにより数年前に途絶えていたものを、松野町の民間企業と協力して復活させました。また、2020年9月には、ずっと使われていなかった古民家を間借りして、「森とパン」という、土日祝日限定オープンのパン屋を開きました。店の看板の文字は、地元の小学生に書いてもらいました。今はまだ1日に100個ほどしか作れませんが、人口4000人で松山市からも2時間ほどかかる同地にもかかわらず、瞬く間に完売しました。

「水際のロッジ」のホームページ
「水際のロッジ」のホームページ
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著者プロフィール

  • 市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

    1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「IT人材ラボ」を立ち上げ。2020年8月に人事全領域にテーマを広げた「HRzine」をスタートさせた。

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2020/12/02 06:00 /article/detail/2684
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