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イベントレポート | 人事データ活用

「日本で一番、データに強い人事を創る」サイバーエージェントの取り組みとは


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 株式会社博報堂コンサルティングの社内カンパニーであるHR Design Lab.が主催する対談イベント「HR RUNNERS」。毎回、HRの前線を走る第一人者をゲストに招き、HR Design Lab.代表 兼 博報堂コンサルティング 執行役員 楠本和矢氏が、「べき論だけではうまくいかない現場のリアル」に迫る。第8回のゲストは、株式会社サイバーエージェント 人事データ統括室 室長 堤雄一郎氏。「人事施策を強化するデータ活用〜サイバーエージェントのケース〜」と題し、同社の人事部門におけるデータ活用の実態が披露された。

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堤 雄一郎

堤 雄一郎(つつみ ゆういちろう)氏
株式会社サイバーエージェント 人事データ統括室 室長
化粧品メーカー勤務を経て、2006年サイバーエージェントグループに入社。インターネット広告事業部門にてコスメ系クライアントの営業担当や各種媒体担当などに従事した後、2017年より全社人事部門に所属。現在は人事関連のシステム開発による業務スマート化と人事データ整備をミッションとするチームのマネジメントを担当。お酒の飲めない九州男児。

楠本 和矢

楠本 和矢(くすもと かずや)氏
HR Design Lab.代表 兼 博報堂コンサルティング 執行役員
神戸大学経営学部卒。丸紅株式会社で、新規事業開発業務を担当。外資系ブランドコンサルティング会社を経て現職。これまでコンサルティングプロジェクトの統括として、クライアント企業に深くコミットするアプローチのもと、多岐にわたるプロジェクトを担当。現在は、HR Design Lab.代表として、「マーケティングとHR領域の融合」をテーマに、現場での実践に基づいた様々なHRソリューションを開発提供。特に、組織の創発力強化・生産性向上を目的とした取り組みに注力。

「GEPPO」から始まったサイバーエージェントの人事データ活用

 日本のITベンチャーの先駆けとして名高いサイバーエージェントは、創業から23年が経ち、売上高4800億円、社員数5500人、グループ100社を擁する大企業へと成長を遂げている。

 そんなサイバーエージェントの人事データ統括室で室長を務める堤氏は、同社の人事組織について、次のように解説した。

 「人事担当役員直下に位置する、いわゆる全社人事である『人事管轄』には、『採用戦略本部(新卒&中途採用)』『人材戦略本部(適材適所/才能開花)』『人事本部(労務/健康推進/事業推進/オフィスetc.)』『人事データ統括室(人事システム化/データ整備)』の4つの組織があります」(堤氏)

[画像クリックで拡大表示]

 人事データ統括室の中には、人事業務のシステム化を担う「人事システムG」と、人事データの整備・分析環境構築を担う「人事データG」の2つのチームがある。同組織は、システム構築やSaaSの導入などにより、2018年9月からの約2年間で、1万時間の人事ルーティン削減と5万枚のペーパレスという実績を上げているという。

 人事データ統括室に在籍するメンバーの多くはエンジニアだ。事業部でマーケティングデータを扱っていたメンバーも加わっているものの、データサイエンティストはいないという。もともとシステム部門として発足した人事データ統括室は、“人事内にある人事専門システム・データ部門”である。コーポレート部門には他にも、全社インフラ管理・大規模システム開発を担う「全社システム本部(いわゆる情シス)」と、財務・経理・法務のシステム化を担う「経営システム室」があり、相互に連携しながら業務を進めている。

 「弊社の人事データの取り組みは、GEPPOというシステムができた2013年から始まっている」と話す堤氏。企業規模が大きくなっていく中で社員の顔が見えにくくなってきたことから、GEPPOで社員にアンケートをとり、社員の声をしっかり拾っていこうと考えたのだ。

 GEPPOの誕生とともに、GEPPOの運用を担う「キャリアエージェント」というチームも生まれた。キャリアエージェントは、GEPPOの活用促進に取り組むとともに、GEPPOで収集した社員の声に基づいて、人材を適材適所に配置する“社内ヘッドハンター”としての役割も担う。

 GEPPOで行うアンケートは、毎月3問+フリーコメントで構成されている。社員は自身の心境を5段階の天気マークで回答する。毎月必ず聞くのが、個人とチームそれぞれのコンディションについての2問。さらに、その時々で聞きたい内容をオリジナル質問として加えている。

 GEPPOの内容は上司には見せず、キャリアエージェントによって毎週役員に直接届けられる。そして最も驚くべきは、すべてのフリーコメントに対し、6名のキャリアエージェントが必ず同月内に返信しているというのだ。いつも晴れマークの人が雨に変わっているなど、気になる社員には直接声をかけ、時には役員に改善や異動を提案することもあるという。

 社内アンケートを実施しても、回数を重ねるごとに回答率が下がっていくという悩みを抱える企業は少なくない。しかし、「キャリアエージェントが運用を懸命に行っているおかげで、GEPPOの回答率は毎月100%近い。何よりも大切なのは『打てば響く』という実感を社員に持ってもらうことだ」とした上で、堤氏は社内アンケートの運用における課題と解決策を、次のようにまとめた。

  • 入力しない人がいる → 業務として義務化する
  • それでも入れない人がいる → 個別にお願いする
  • 意味があるのか分からないと不満が挙がる → コメントに全返信する
  • バレたらどうしようという不安があって回答できない → 役員とキャリアエージェントしか見ないことを保証する
  • 強い批判コメントが来る → 直接対話して信頼関係を築く

 これに対し、楠本氏は、「どうしても事業部と人事部はギャップが生まれがち。しかし、『ちゃんと聞き入れますよ』『ちゃんとレスポンスもしますよ』という意思を示すことが信頼関係を作るための第一歩なんですね」と感想を述べた。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/2811 2021/01/29 14:27

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