マイナビの総合転職情報サイト「マイナビ転職」は、副業経験または副業意向がある会社員・公務員を対象に行った「副業に関する意識調査」の結果を発表した。コロナ禍で副業の注目が高まる中、副業を始めた理由や収入、実際に副業をした際の評価・実感などについて調査をした。調査期間は2020年11月13日~11月16日。800名(20歳~59歳の年代ごとに200名)から回答を得ている。
副業経験者が、副業で得たい希望月収は平均13万2546円。これに対し実際の月収は平均5万9782円。希望と実態の差は7万2764円で2倍以上の大きな乖離があることが分かった。
副業を始めた理由は、「小遣い・趣味に使える収入を増やしたい」52.8%、「将来への備え・貯金を増やしたい」48.3%、「将来の収入への不安を感じた」40.4%がトップ3で、4位以下と大きく差がついた。副業を通して、収入を増やしたいと考えている人が多いことがうかがえる。これに対し、スキルアップや人脈作りなど、キャリア形成やライフワークへの期待から始める層はそれぞれ2割程度にとどまる。
副業に「満足」と回答した副業経験者の割合は65.5%で、「不満」は1割に満たなかった。満足している人は、希望の収入には届かないものの、やりがいや視野・人脈の広がりを得られることにメリットを感じているようだ。
副業で実現したいことを、転職することで実現できるのかという質問に対し、「実現できる」と回答した人は約3割。見込める収入や生計が立てられるかどうかを考えると、現在の仕事を続けつつ、あくまで副業としてやりたいという回答が目立った。年代別に見ると、20代では「実現できる」の回答が4割を超え、転職することで自己実現を目指す割合が他の年代より高い結果となった。
同調査の結果を受け、マイナビ転職 編集長 荻田泰夫氏は次のように述べている。
「政府によるモデル就業規則の改定を契機に企業の副業解禁の流れが広まってから3年、新型コロナウイルスの影響で雇用の不安定化もあり、社員の副業を認める流れが加速した。昨年実施した人事担当者を対象にした同社調査でも『社員の副業を認めている』という回答は約5割にのぼっており、2021年も副業を推奨する流れは続いていくと考えられる。ただし、企業側の導入理由のトップであった『収入補填』について、副業で希望する収入を得るのは難しいということが今回の調査で分かった。
とはいえ今回の調査では、副業がきっかけで自己成長や新たな仕事適性、やりがいなどに気付くケースもあることが分かった。自身のキャリアや仕事との向き合い方に悩んだ時に、視野を広げ仕事の価値観を見直すことを目的に、副業をやってみるという選択肢も有効。企業もより人材を活かすために、社員に副業を認めるだけではなく、副業で得た知見やスキルを本業に還元する仕組み作りをしておくことが求められる」(荻田氏)