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正社員の採用予定、9年ぶりの低水準―帝国データバンク調べ

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 帝国データバンクは、2021年度の雇用動向に関する企業の意識について調査を実施し、結果を発表した。調査期間は2021年2月12日~2月28日で、有効回答企業数は1万1073社。

 2021年度(2021年4月~2022年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は前回調査(2020年2月実施)から3.9ポイント減の55.3%となり、3年連続で減少した。新型コロナウイルスによるさまざまな影響を受けた2020年度の企業活動などを踏まえた2021年度の正社員採用見込みは、2012年度(54.5%)以来の水準に低下する格好となった。

 正社員の「採用予定がある」と回答した企業を規模別に見ると、「大企業」は79.5%(同3.4ポイント減)となり、高水準ながらも8年ぶりに8割を下回った。さらに、「中小企業」は50.2%で同3.4ポイント減となり、規模を問わず慎重な姿勢を示す結果となった。

 企業からは、「新型コロナの影響による業績見通しも不透明であることから、採用も様子を見ている」(金属加工機械卸売、宮城県)や「売り上げの伸びが見えているようであれば採用するが、横ばいから減少気味な現時点においては、採用することはできない」(一般機械器具卸売、東京都)、「本当は採用したいが、先行き見通しが不透明すぎるため採用できない」(プラスチック板・棒・管・フィルム・合成皮革卸売、大阪府)といった声が多く聞かれた。

 一方で、新型コロナ下でも前向きに採用を検討している企業もある。「技術系を採用したいが今までは応募がなかった。他企業が控えている現状が中小企業にとって人材を集めるチャンスと捉えている」(油圧・空圧機器製造、東京都)や「大手企業が採用を控え、中小企業・地方企業へ学生が流れた」(ソフト受託開発、新潟県)のような意見も多い。

 また、「中小企業自体が慢性的な人材不足に陥っているなかで、景気が悪化しているといえども、採用を控えることは中長期的にはマイナスの影響があると認識している」(金属工作機械製造、岡山県)、「先行き不透明だが、今後の自社の将来を考えると、人材を確保し教育訓練しておく必要がある」(製缶板金、福島県)のような、新型コロナなどによる景況感の悪化を踏まえつつも将来を見据えて採用を行うといった声も上がった。

 2021年度(2021年4月~2022年3月入社)の正社員の採用状況について新卒新入社員と中途社員をそれぞれ尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)割合は、「新卒新入社員」で39.1%、「中途社員」で45.0%となった。

 規模別では、「大企業」では新卒、「中小企業」では中途採用の割合が高くなっている。特に中小企業からは、「新卒を教育している時間がないので、どうしても即戦力である中途採用に偏る」(各種商品卸売、神奈川県)や「現場の稼働が間に合わない状況が続いており、新卒社員については社会人としての教育を行う体制が整わないため中途のみで採用予定」(有機化学工業製品製造、大阪府)といった声が多く上がった。

 2021年度の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は36.8%となった。前回調査から7.4ポイントの大幅減となり、9年ぶりの3割台まで減少した。また、「採用予定はない」とする割合は5割近い水準まで増加している。

 「採用予定がある」企業を業種別に見ると、「飲食店」が73.1%でトップとなった。新型コロナの影響を大きく受けたことで人手不足割合も大幅に減少しているが、非正社員の採用意欲は依然として高い。飲食店からは、「新型コロナの感染状況に左右されるので、予測が難しい」(日本料理店、静岡県)という声がありつつも、「結局のところ飲食業の人手不足は解消されていない」(中華料理店、栃木県)などの意見もみられた。

 次いで、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」が69.6%で続いた。旺盛な内食需要により人手不足割合が高まっていることが一因と考えられる。また、「家具類小売」(66.7%)、「飲食料品小売」(64.6%)、「人材派遣・紹介」(63.3%)、「娯楽サービス」(61.7%)など、個人向けの業種が上位に並んでいる。

 政府は、2021年4月に高年齢者雇用安定法を改正し高年齢者の就業機会増加を図るなど、シニア層の雇用拡大策を積極的に推し進めている。こうした中、新たに努力義務として定められる「70歳までの就業機会確保」に対して自社でどのような対応を予定しているか尋ねたところ、再雇用制度や勤務延長制度による「70歳までの継続雇用制度の導入」が25.4%で最も高くなった(複数回答、以下同)。他の項目は1割以下にとどまった。

 また、「もともと70歳まで働ける制度がある」は16.4%となり、「(現時点で)対応は考えていない」は32.4%に上った。さらに「分からない」とした企業は14.9%となり、対応を決めかねている様子もうかがえた。

 企業からは、「技術の伝承という観点から継続雇用をしている」(ニット・レース染色整理、福井県)や「働けるうちは何歳でも雇用していくというモットーにより70歳以上の社員も元気に働いている」(石油卸売、兵庫県)など、前向きに高年齢者を雇用しているという声が上がった。

 一方で、「マッチングが非常に難しく断念している」(ソフト受託開発、富山県)や「ドライバーという職種柄、高年齢者の雇用は安全の根幹である認知、判断、動作の基本操作への影響が表れる可能性があるのでどうしても年齢の引き上げには慎重にならざるを得ない」(一般貨物自動車運送、群馬県)、「高齢者にとって体力的に厳しい業種なので希望が少ない」(各種食料品小売、岐阜県)など、さまざまな課題を抱える企業も多い。加えて、「業種や業態にもよりさまざまであり、一括りに70歳までの就業機会を確保するのは厳しいのでは」(和洋紙卸売、茨城県)といった声も多数見られた。

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労務管理から戦略人事、日常業務からキャリアパス、HRテクノロジーまで、人事部や人事に関わる皆様に役立つ記事(ノウハウ、事例など)やニュースを提供しています。

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