オリジネーターは、同社が運営する外国人留学生就職情報サイト「リュウカツ」登録者のうち、日本で働く外国人社員を対象にアンケートを実施した。調査時期は2021年3月。129名から回答を得ている。
日本で働いてみて良かったことは、「雇用が安定している」が約半数(49.6%)となり、2位と20.9ポイントもの差をつけて1位になった。日本でも転職は増加しているものの、大手企業を中心に未だ長期雇用が一般的であることが、外国人社員にとって魅力となっているようだ。また「やりたい仕事ができて、やりがいを感じる」も約3割(28.7%)となった。外国人社員は日本人社員に比べてやりたいことが明確であり、やりたい仕事に就けることは重要なポイントになるといえる。
一方で、日本で働いてみて不満に思ったこと・がっかりしたことは、「給与水準が高くない」が3割強(31.8%)で1位となった。国によっては、留学経験者に対して日本以上の高い水準の給与を支払うケースもあるため、日本の給与水準が思ったほど高くないという印象になったと推測される。
なお、「給与水準が高くない」(31.8%)に加え、僅差で「求められている役割や仕事内容が明確でない」(28.7%)、「人事評価の基準が明確でなく、外国人だと昇給・昇進できない」(28.7%)が上位に入っているが、日本では長期雇用を前提としたゼネラリスト育成や、年功賃金の慣行が強く残っており、コロナ禍で話題となっているジョブ型や成果主義は実際にはそれほど導入が進んでいない。自身の仕事内容や実績に対する明確な評価(報酬)を望む外国人社員に対しては、自社の人事評価制度を丁寧に説明するとともに、評価制度の変革も迫られているといえる。
また、「日本語ネイティブでないことへの配慮が不足」(29.5%)が2位となっていることから、外国人社員を受け入れる企業側の課題として、日本人社員側の意識改革や行動変容の必要性も見える結果となった。
日本での勤務先企業について、「転職をしたことはない」という回答が約6割(60.5%)となり、「転職したことがある」の約4割(1回26.4%+2回13.2%=39.6%)を約20ポイント上回った。
しかし「転職を考えている」外国人社員は半数超(55.8%)という結果になった。
「転職を考えている」と回答した人に理由を聞いたところ、6割超(63.9%)が「より成長できる環境を求めて」と答え、外国人社員の上昇志向の強さがうかがえる結果となった。外国人社員の定着を図るためには企業側が「この会社でどのような成長ができるか、どのようなスキルが身に付くか」というキャリアパスを明示できるかどうかがカギとなる。また、「給与を上げるため」(52.8%)や、「グローバルな仕事に就くため」(47.2%)も約半数に上った。
「転職を考えている」と回答した人に、企業選びで重視する点を聞いたところ、1位「給与水準が高い」(47.2%)、2位「職場環境や社風に合う」(41.7%)、3位「グローバルに仕事ができる」(33.3%)という順になった。外国人社員の場合は、転職先を決定する際、職場環境・社風や仕事内容よりも、給与水準を重視する傾向が明確に表れた。
今後、日本で「できるだけ長く」働きたい人が4割超(41.1%)となったものの、「10年以上」という回答が5.4%と少ないことから、明確に期間を決めず、日本での雇用条件や状況に応じて「できるだけ長く」と考えていることが推測できる。外国人社員の場合、日本で勤務後、勤務先企業の母国にある拠点や、帰国して日本企業の現地法人に入社するなど、日本で勤務した経験を母国で活かしたいと考える人もいるため、自分にとって最適な時期まで日本にいると考えているのかもしれない。