Fringe81は、全国の上場企業に勤務する20~60代の管理職325名と一般社員324名を対象に、「1on1ミーティング[1]に関する実態調査」を行い、結果を発表した。調査期間は2021年5月18日~19日。
同社ではこの調査結果を受けて、以下のように述べている。
管理職と一般社員の合計649名に聞いたところ、75%が月1回以上1on1ミーティング(以下、1on1)を実施していることが分かった。同制度を導入している各企業は、定常的に実施する施策として定着している様子がうかがえる。
「あなたにとって1on1ミーティングは、すべての業務の中の優先順位はどの程度ですか?」という質問をしたところ、管理職は「高い」「やや高い」が65%という高い数値だった。しかし、一般社員の「高い」「やや高い」の合計は46.9%と半数以下にとどまる結果となった。管理職と比較すると部下である一般社員の方が1on1を「仕事の上で重要なもの」とは捉えていないことが分かった。
1on1の目的として考えられる要素を12項目に分割し数値化したところ、12項目全てにおいて一般社員のほうが低いことが分かった。一般社員は1on1に対する優先度が低いだけでなく、管理職と比較すると1on1の期待値にギャップがあることがうかがえる。
期待に対して、全く同じ12項目で「満たされていること」を聞いた結果、管理職・一般社員ともに、ほぼ全ての項目でポイントが期待値を下回る結果になった。双方とも、現在の1on1は期待通りの効果が得られていないと感じていることが分かった。また、期待値同様、満足度も全12項目で一般社員のほうが満足度が低く、管理職はどういった点を改善すべきか考え、実行するべきと考えられる。
一般社員が1on1において満たされている項目の上位5つは仕事の進捗や問題点について話し合ったり、管理職からフィードバックを受けたりするなど、全て日々の業務に関する事項だった。一方、満たされていない項目下位5つのうち3つが「自分自身の挑戦・キャリア」といった未来に関する項目となっている。部下である一般社員にとってより満足度の高い1on1を実施するには、日々の業務進捗に関する話題よりも、キャリアや今後の挑戦に関する話題を増やし、部下の未来を後押しするような場にしていくことが必要だと考えられる。
現在の1on1は「業務の進捗管理の場」としては効力を持っているが、今後は「部下の成長支援の場」としての役割になることを管理職自身が意識し、そのための会話を増やしていく必要がある。同調査で「1on1ミーティングに対するポジティブな印象を自由にお書きください」と聞いたところ、一般社員からは「仕事の方向性、上司の考え方を理解し自分の考えを伝えられる」「自分自身の成長、これから先に進むべき課題や目標が明確に示される」、管理職からは「個人の仕事の進捗管理に加え、キャリア形成に関する認識合わせが定期的にできるので有用」という回答があったことからも、成長支援をする場にしていくことは、一般社員の1on1に対する期待、そしてその先の満足度を上げていく上で有益だと考えられる。
注
[1]: 同調査における1on1ミーティングは、「給与査定面談、目標設定面談、評価面談とは異なる上司と部下が1対1で定期的に対話する場・機会」と定義。