大東建託は10月より、女性管理職の育成、登用に向け、「クォータ制」を導入した女性育成プログラムを始動した。
同プログラムは、昇進をハードルに感じる女性社員が役員や管理職の役割を理解したうえで、キャリアの選択肢の1つとして考えられるようにすることを目的としている。
同社では、約8479名いる社員のうち、女性社員の割合は14.8%(2021年3月末時点)、女性管理職の割合は4.6%(2021年3月末時点)となっており、過去5年で微増しているものの、2021年8月に帝国データバンクが発表した国の女性管理職の平均割合7.8%(出所:「女性登用に対する企業の意識調査(2020年)」)を下回っている。
また、7月に同社の全社員を対象に実施した「働き方、キャリア及びダイバーシティ推進に関するアンケート」調査によると、「管理職への昇進を打診されたらどうしますか」という設問に対し、女性社員の過半数が昇進を「辞退する」と回答。辞退する理由として最も多かったのは、「自信がないから」が20.4%、続いて「責任が重くなるから」が19.1%という結果になった。
この結果を受け同社は、女性社員に着実なステップアップや昇進をイメージさせることで、自信をつけてもらう育成体制が重要と判断した。プログラムの内容は以下のとおりとなっている。
クォータ制の導入
役員などの女性割合を一定になるようにする制度。3年後の、上級管理職を含めた女性管理職人数を設定し、昇進必須要件である管理職候補者研修選抜時の女性割合も定めている。執行責任者の責任のもと計画的に育成することで、3年後の女性管理職比率を2020年度の4.6%から6.0%に向上させるという。
女性教育プログラムの導入
課長職、マネジメント職、役員への昇進など、段階別に研修を実施し、教育体制を整備。ステップアップを実感し、昇進をイメージしてもらいやすくすることを目指すアンケートで最も多かった「自信がないから昇進を辞退する」の解決に向け、不安を解消し、自信につなげていく教育体制の実現を目指す。
女性活躍推進委員会の設置
経営管理本部長を委員長とし、営業や設計、工事、業務、本社の各職種の執行責任者を中心に、全職種横断型の女性活躍推進員会を設置。半年に一度の報告会では、クォータ制の進捗状況や課題の共有を行うなど、全社的に推進する。
上司向け研修の導入
来年度より、全管理職を対象とし、男女の考え方の違い、アンコンシャスバイアス、女性部下育成の方法などの研修を実施。女性の育成において上司の指導、支援が重要であることの認識を高め、女性活躍を推進する。
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