リクルートマネジメントソリューションズは、「人・組織課題解決の支援ニーズに関する調査」を実施し、その結果の一部を「HRBPの存在意義 編」として発表した。以下、HRBPは「自組織担当の人事スタッフ」と呼称する。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査対象:会社勤務の事業統括責任者または直接部門・部署(営業、販売、製造、開発など)の責任者
- 調査方法:インターネット
- 期間:2022年3月15日~3月22日
- 有効回答数:361名
自組織担当の人事スタッフがいる場合が8割
人事の組織体制について、自組織担当の人事スタッフがいるとの回答が80.9%。その内訳として、部門内スタッフのみである場合が73.3%、人事部門スタッフのみである場合が14.7%、両方に自組織担当の人事スタッフがいる場合が12.0%であった。(図表1)
自組織担当の人事スタッフがいると人事・経営との人・組織課題についての会話機会が増加
図表2は、自組織担当の人事スタッフの有無別に、日頃、人・組織課題についての会話がどの程度あるかを尋ねたものである。自組織担当の人事スタッフがいる場合では、いない場合に比べて、人事スタッフ・人事部門、および経営者や上位者との人・組織課題についての会話が多い。組織内と人事部門の両方に自組織担当の人事スタッフがいる場合は、よりその傾向が強い。自組織担当の人事スタッフの有無や、組織体制における人事スタッフの置かれ方が、人・組織課題に関する事業責任者の情報ネットワークに違いを生み出している可能性がある。
自組織担当の人事スタッフの有無で、人事の存在感・イメージが異なる
図表3は、「人事スタッフ・人事部門」と言われたときに想起するイメージとしてあてはまる言葉を選んでもらったものである。自組織担当人事スタッフがいる場合は、回答者が選択するワードの数が増え、幅広いイメージワードが選択されている。「人・組織に強い関心・思いがある」「規則に従う」といった共通イメージに加え、「誠実な」「頼りになる」「戦略的な」「思いやりのある」「人の可能性を信じる」「経営視点の」といったイメージが加わる。
事業部内人事スタッフは課題認識を促進、人事部門の自組織担当スタッフも加わることで人事支援ニーズの幅が広がる
同調査で確認してきた複数の要素が、人・組織課題の認識や人事支援ニーズにどの程度影響しているのか、その影響度合いを比較するため、重回帰分析で分析した。調査内で選択された「人・組織の課題認識の数」「人・組織課題に対する人事支援ニーズの数」「マネジメント施策に対する人事支援ニーズの数」の3つの結果変数それぞれに影響を与えている要因を検討し、統計的に有意な水準となった要因と係数のみを記載した。係数が正の値で大きいほど、要因となる変数の値に応じて結果変数が大きくなることを示している。
事業特性が要変革局面である場合、3つ全ての結果変数に有意な正の影響が生じていた。事業が要変革局面にあるときには、課題認識と人事支援ニーズが多岐にわたることが分かる。他にも、課題認識や支援ニーズに影響を与えている変数がある。部門内にのみ、または部門内と人事部門の両方に自組織担当人事スタッフがいると、人・組織の課題認識の数が増えていた。図表2で、人事の組織体制によって事業責任者の人・組織課題に関する会話機会が異なっていたことを考え合わせると、部門内人事担当がいることで日常に紛れて見えにくい人・組織課題が発見できることが分析結果に表れていると考えられる。
また、部門内と人事部門の両方に自組織担当の人事スタッフがいる場合には、人事支援ニーズの数が多くなることも確認された。この効果は、部門内のみに自組織担当人事スタッフがいる場合では見られなかった。部門内と人事部門の両方に自組織担当の人事スタッフがおり、連携していることで、人事からどのような支援が受けられるかという情報が具体的に得られることの効果と考えられる。(図表4)
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