藤田 大輔(ふじた だいすけ)氏
楽天投信投資顧問株式会社 執行役員
1990年大手SI企業に入社。主に資産運用会社のバックオフィス業務BPR(Business Process Reengineering)プロジェクトに従事する。2015年以降、ユーザー側となる金融機関のIT部門に従事したのちに、2018年より楽天投信投資顧問株式会社にて勤務。BPR責任者として、新規業務の導入や業務改革プロジェクトを遂行する。その一環として、人事部門を含む本社機構の改善を継続的に遂行中。2020年より現職。
会社の新たな成長ステージに向けた人材育成の取り組みを開始
――今回、新しい人事体制を起ち上げようと考えた、そもそものきっかけや背景を教えていただけますか。
創業から15年ほど経ったのですが、いま当社は非常に伸びています。そこで、ビジネスプロセスの見直しや様々な改革に取り組んでいたところ、本社機能についても見直そうということになったのです。しかし、人事に関してはこれまで思想やポリシーを意識したことがなく、その時々で採用や労務管理、人事評価などを行ってきました。そこでこの機会に、新たに人事戦略を練り直そうというのが始まりでした。
そう考えたきっかけは、会社を大きくしていくのに、このままでは人を育てていけないという危機感でした。これまでは人を採るといっても、関連業界から即戦力になる人材を募って中途採用するばかりでした。それを今後はいわゆるプロパー人材として、若手から自社の業務を一通り経験させつつ育成していかないと、この先10年、20年と会社を支えていける人材を確保できないことに、社長も私たちも思い至ったというわけです。
――「自社の将来を支える人材」について、具体的なイメージや要件は当初からあったのですか。
中長期的な展望に立った成長戦略を描き実行するには、「そもそも当社とは何か?」という根源的な部分をきちんと理解した上で、具体的にビジネスを立案し運営していく人材が不可欠です。即戦力=中途採用だと、どうしても外のカルチャーも一緒に持ってきてしまいます。白紙の状態から自社の業務をいろいろ経験しながら、「うちの会社って何だっけ?」というのを肌身で理解していく人を育てたいという思いを、社長も強く抱いていました。
一方で、こうした先の展望を意識するようになったのは、それだけ会社に余裕ができてきた証拠だとも考えています。立ち上げからこれまでは、とにかく目の前の仕事を前に進めなくてはならない。そのための即戦力人材であり中途採用でした。しかし、会社の屋台骨がしっかりと組み上がってきた今、さらに未来の会社像を実現するための戦略に着手する時期が来た。人事の見直しも、そうした次のステップに向けた取り組みの一環と捉えています。
もう一つの大きな動機は、私たちの業界だと働き盛りの人材は30代後半から40代前半なんですが、採用競争が激しくて報酬も高くなり、その年代の中途採用はなかなか難しい。その意味でも、20代後半から30歳過ぎくらいから自社で育てる必要があります。いま現役最前線の40代半ばの社員たちが50代を過ぎたときに、その後をしっかり継いでいけるプロパー社員を採用・育成していくサイクルを構築しておく狙いもありました。