ラーニングエージェンシーとラーニングイノベーション総合研究所は、2022年3月31日～5月13日の期間、2022年入社の新入社員4659人を対象に、働くことに関する価値観の調査「新入社員意識調査」を実施。そのうち、製造業に入社した新入社員の結果を発表した。
発表の内容は以下のとおり。
「今の会社で長く働き続けたい」割合が他業種よりも15ポイント以上高く7割超
はじめに、製造業の新入社員に「今の会社で働き続けたいですか」と尋ねたところ、73.8％が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答し、製造業を除く全業種（以下、「他業種」と記載）よりも16.3ポイント高い結果となった。一方、「そのうち転職したい（7.3％）」と回答した割合は、他業種に比べて9.5ポイント低い結果となり、製造業の新入社員は他業種に比べ、1つの会社で長く働くことを求める傾向が見られた。
他業種よりも「安定した生活」を求める割合が高く、家族や社会への貢献意識も高い傾向
次に「どのような状況であれば今の会社で働き続けたいと思いますか」と尋ねたところ、1位は「職場の人間関係が良い（70.8％）」、2位「高い給与・賞与をもらえる（55.4％）」、3位「仕事を通じて成長できる（33.6％）」、4位「業績が安定している（33.4%）」だった。いずれも他業種と同じ順位であるが、「職場の人間関係が良い」は5.6ポイント、「業績が安定している」は7.2ポイント高い結果に。一方、3位の「仕事を通じて成長できる」は8.0ポイント低くなり、最大の差となった。
また、「仕事を通して何を成し遂げたいですか？」という質問では、1位「安定した生活を送りたい（66.0％）」、2位「自分を成長させたい（55.8％）」、3位「家族に恩返しをしたい（52.9％）」、4位「社会に貢献したい（36.7％）」と、こちらも他業種と同じ順位。各割合を見てみると、「安定した生活を送りたい」は他業種よりも3.0ポイント高く、「家族に恩返しをしたい（52.9％）」「社会に貢献したい（36.7％）」はそれぞれ5.2ポイント、5.3ポイント高い結果となった。一方、「自分を成長させたい」は5.9ポイント低かった。
スキルアップに取り組んでいる人が少なく、「成長」への関心度が低い傾向
「社会人としてスキルアップするために、すでに取り組んでいることはありますか」という質問では、製造業の新入社員は「特に何もしていない」と回答した割合が34.3％で、他業種より7.7ポイント高くなった。他業種で1位となった「インターネット等で提供されるサービスを使って勉強している（16.9%）」は製造業では4位となり、10.3ポイント低い結果に。他にも「ビジネス本を読んでいる（16.3％）」「専門学校／通信教育で資格等の取得に向けた勉強をしている（5.4％）」はそれぞれ6.3ポイント、6.0ポイント低い結果となった。
最後に「今後どのような仕事をしていきたいですか」と複数回答で尋ねたところ、1位の「楽しくてやりがいのある仕事（74.8％）」が7割を超える結果となった。これは、他業種も同様に高い結果となり、新入社員の特徴といえるだろう。続く2位、3位は「自身の成長につながる仕事（50.1％）」「楽しく取り組める仕事（44.5％）」となった。
なお、他業種と比較すると、1位の「楽しくてやりがいのある仕事（74.8）」は2.1ポイント、3位の「楽しく取り組める仕事（44.5％）」は3.8ポイント高い結果に。その他「安定的に給与が得られる仕事（33.9％）」「緻密さ・正確さが求められる仕事（13.7％）」はそれぞれ2.2ポイント、5.1ポイント高い結果となった。2位の「自身の成長につながる仕事（50.1％）」は5.9ポイント他業種よりも低く、最も差が出た項目だった。
ラーニングエージェンシーは上記の結果を受けて、まず「大きな特徴として挙げられるのは、1つの会社で長く働くことを求めている人が7割を超えたこと。他業種と比較すると15ポイント以上の差が出た」ことを挙げている。また、「業績の安定や仕事を通して安定した生活を求める割合が他業種よりも高く、『安定志向』も製造業の新入社員を特徴づける一つのキーワードと言える」とも指摘した。
一方で、「目まぐるしく環境が変化する昨今、企業が抱える課題は多様化・複雑化しており、製造業も例外ではない」とし、「環境変化に適応し、生き残っていくためには、やはり社員の成長が欠かせない」と訴えている。そのためには、「彼らの真面目な姿勢に応えつつ、上司や先輩がしっかり寄り添いながら、成長への意欲をより高められるよう導いていけるとよい」と提案している。
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