早藤 努(はやふじ つとむ)氏
ソニーピープルソリューションズ株式会社 人材開発部 統括部長
官公庁、コンサルティングファームを経て、2008年ソニー株式会社(現 ソニーグループ株式会社)入社。基幹人材育成、指名・報酬委員会事務局等に携わる。ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社人事部長を経て、2021年5月より現職。ソニーグループにおける人材育成施策の企画・運営等を担当。
だからソニーは「個」を大切にする
ソニーが人事施策に取り組む上で大きな礎になっているのは、1946年の創業以来、脈々と受け継がれている企業文化だという。創業者の井深大氏が作成した設立趣意書には、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき、自由闊達(かったつ)にして愉快なる理想工場の建設」としたためられており、これが「個」に着目する姿勢の原点となっているのだ。
加えて、もう1人の創業者である盛田昭夫氏が1989年の入社式で残したスピーチから、「自分の人生をソニーで送っていいのかどうかをよく考えてほしい」「あなた方が本当に働きがいを感じ、働く喜びを持ってソニーに居て欲しい」という言葉を引用した早藤氏。ソニーで働くことに働きがいを感じ、喜びを持っている人が集まっているからこそ、どの会社にも負けない会社になるのだ。
こうした創業者の理念をもとに、現在のCEOである吉田憲一郎氏がまとめたのが「Sony's Purpose & Values」である。「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)と4つのValues(価値観)。Valuesの1つにも“Diversity(多様性)”が組み込まれているが、会社であるソニーとその中で会社を動かす人がPurposeを中心に、相互成長作用を起こしていくと考え、「Special You, Diverse Sony」というSony's People Philosophyを掲げている。
つまり、ソニーの人事では、多様な「個」を軸とした人事戦略(個を求む、個を伸ばす、個を活かす)を立て、社員一人ひとりが力を伸ばし、最大限に発揮できる環境づくりに尽力しているのだ。