リクルートの人と組織に関する研究機関であるリクルートワークス研究所は、民間企業における、2024年卒の新卒者を対象とした採用見通しに関する調査を実施し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査方法:電話・FAXにて回収
- 調査対象:従業員規模5人以上の全国の民間企業7200社
- 有効回答数:4341社(回収率60.3%)
- 調査実施期間:2022年10月4日~11月9日
2024年卒者の新卒採用見通し(大学生・大学院生)
前年と比較して、新卒採用数が「増える」企業の割合が15.5%であり、「減る」は3.6%であった。「増える-減る」のポイントは+11.9%ポイントとなり、2023年卒の+7.0%ポイントからさらにプラスの幅が増加した。また、「わからない」が2023年卒の24.1%から22.6%へ-1.5%ポイントと2年連続で減少した。また、前年に続き、大企業を中心に採用意欲が回復した。
業種別に見ると、全ての業種において「増える」が「減る」を上回った。特に「増える-減る」のポイントが大きい業種は、情報通信業(+19.3%ポイント)、飲食店・宿泊業(+17.1%ポイント)、卸売業(+13.9%ポイント)、機械器具製造業(+13.2%ポイント)、金融・保険業(+13.2%ポイント)などとなった。
新卒採用見通しの前年比較の推移(大学生・大学院生)
「増える-減る」のポイントは+11.9%ポイントだった。コロナ禍による景況感の悪化のため、2022年卒は10年間続いた採用数増加傾向が途絶え、マイナスとなった(-3.9%ポイント)。しかし、2023年卒はコロナ禍による採用意欲の停滞からの反動で、一転してプラスとなった。2024年卒はさらに採用意欲が回復し、「増える-減る」のポイントは比較可能な2011年卒以来、最大となった。
「増える-減る」のポイントの伸び幅は+4.9%ポイント(2023年卒の+7.0%ポイントから+11.9%ポイント)。これは比較可能な2011年卒以来で、2023年卒の+10.9%ポイントと2012年卒の+5.6%ポイントに次ぐ伸び幅である。「減る」と回答した企業の割合は3.6%で、比較可能な2011年卒以来最も少なくなった。
初任給の引き上げ(大学生・大学院生)
人材採用戦略として初任給の引き上げを実施または予定しているかを質問した。「すでに取り組んでいる」企業の割合は27.8%、「今後取り組む予定である」企業は27.1%となり、合わせて54.9%の企業が初任給の引き上げを実施、もしくは予定している。前年の44.5%から+10.4%ポイントと大きく増加した。5000人以上の企業において、積極的な初任給引き上げが目立つが、中小企業にもその傾向はみられる。
2023年卒採用における充足率(大学生・大学院生)
10月1日時点の2023年卒の新卒採用の充足率(=2022年10月1日時点の内定数÷2022年4月時点の採用予定数)は78.5%と2014年卒以来で最低となった。採用意欲の回復に対して、実際の採用は計画通りに進んでいないことが分かる。
なお、同調査の詳細データは、リクルートのWebサイトから確認できる。
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