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特別寄稿《人材育成》| リスキリング

従業員のリスキリングを進めるために大切な3つのこと

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 政府が5年間で1兆円を投じるなど、昨年から日本でも注目を集めている「リスキリング」。人的資本経営において重要な取り組みの一つです。本稿では、リスキリングの必要性や目的について改めて確認するとともに、リスキリングを推進するにあたって知っておきたいポイントを、株式会社フライヤー 代表取締役CEOの大賀康史氏が解説します。

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なぜ、いま、リスキリングが重要なのか

 リスキリングが重要になった背景の一つには、「テクノロジーの進展」があります。デジタル化に伴い、企業のあり方自体が変化を求められ、その速度は上がる一方です。企業は創業時と同じ事業を継続するだけでなく、新しい事業に取り組んでいかなければなりません。またそのためにも、従業員に新しい仕事のスキルや進め方を身に付けてもらうことが、ますます重要になっています。

 個人に目を向けると、「人生100年時代」を迎え、会社の寿命よりも個人の働く期間のほうが長くなっています。これまでは、入社時の研修をベースに、自部門で経験を積み重ねることで出世をめざす道が主流でした。ですが、キャリアアップの選択肢が多様化し、新たな専門性を節目ごとに身に付ける必要性が高まってきました。こうしたことからも、世の中の変化に対応し、人材価値を高めるリスキリングが求められているのです。

 なお、リスキリングと同様に社会人の学び直しを指す言葉に「リカレント教育」がありますが、両者の間には次のような違いがあるととらえています。リカレント教育は「個人主体」で行われ、中長期的に自分の好きなことを学び続けるもの。生涯学習の一つの手法であるため、大学や大学院といった教育機関が主体となります。それに対し、リスキリングは企業の生き残りをかけた変革ニーズに基づくものであるため、「企業主体」で行われるものです。キャリアの大きな変化に短期間で対応するという意味合いもあり、講座は主に民間企業が提供します。

 また、リスキリングは個人のキャリアの「転換」を伴うときに実施されるものであることもポイントです。具体的には、職種転換、他の部門への異動、昇格といった場面です。

リスキリングコストは新規採用コストの約6分の1

 企業を取り巻く環境は2~3年で変化します。それに対応するため、企業は組織内のスキルを高め続けなければなりません。その方法には2つあります。1つは、人材を新陳代謝させることです。ただし、優秀な人材は人材市場で引っ張りだこであるため、採用は容易ではありません。もう1つの方法は、既存社員に新しいスキルを身に付けるよう促すことで、これがリスキリングです。デロイトのHRテクノロジーの第一人者として有名な人事コンサルタント、ジョシュ・バーシン氏によると、従業員へのリスキリングコストは、新規採用コストの約6分の1で済むそうです[1]。これは組織が従業員のリスキリングにリソースを割いて取り組むことの合理性を物語っています。

 2021年に発表されたキラメックスの「企業のリスキリング実施に関する調査」によると、約80%の企業が人材のリスキリングに取り組む予定だといいます。かなり大きな数字ですが、本来は100%になるべきでしょう。

[1]: Forbes Japan「コストは採用の6分の1 政府も1兆円投資の「リスキリング」とは?

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この記事の著者

大賀 康史(オオガ ヤスシ)

株式会社フライヤー 代表取締役CEO。早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻修了。2003年にアクセンチュア(株)製造流通業本部に入社。 同戦略グループに転属後、フロンティア・マネジメント(株)を経て、2013年6月に株式会社フライヤーを設立。 著書に『ビジネスエリート必読の名著15』(自由国民社...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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