レバテックは、IT企業を対象に、「リスキリング」に関する意識調査を実施し、その結果を発表した。
調査の概要は以下のとおり。
- 調査対象:IT企業の経営層・役員・部長・課長クラス300名
- 調査年月:2022年12月26日~12月27日
- 調査方法:Webアンケート調査
- 有効回答数:300名
- 実査委託先:楽天インサイト
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
IT企業の経営層・管理職のうち「リスキリング」を知っている割合は約3割
「リスキリング」というワードに関して、34%の人が「知っている」と回答し、「知らない」と回答した人の割合は42%となった。従業員数1001人以上のIT企業に所属する人の中で「知らない」と回答した人の割合は25%にとどまり、その他の企業群と比較するとやや認知が高いことが分かった。ただ、IT企業においても、まだ「リスキリング」という考え方は広まりきっていないといえる。
約6割が「社員へITスキルをリスキリングする必要がある」と回答
ITスキルを社員へリスキリングする必要性を感じている管理職の割合は60.3%となった。特に従業員数が101名以上の企業で6割を超える結果となり、より必要とされていることが分かった。
「社員へITスキルをリスキリングする必要がある」と回答した181名にその理由を聞いたところ、トップ3は「社員によって、ITリテラシーやスキルに差があるため(41.4%)」「求めるスキルを持った人材の採用が難しいため(23.2%)」「社内でDX化を進める人材が不足しているため(17.7%)」となった。
「必要はない」「わからない」と答えた理由として最も多かったのは、「どんなスキルを身に付けさせればいいかわからない(31.1%)」だった。デジタル化・DX化を進める人材が不足している一方で、既存社員へどのようなスキルを身に付けさせればよいか分からないという悩みを抱えている企業も多いのではないだろうか。
リスキリングを検討する企業、ネックは「人的リソース」と「ノウハウ」の不足
リスキリング施策を現在実施しているIT企業は20.3%にとどまり、「実施しておらず、する予定も無い」と回答した人の割合が36%で最も高かった。
対象とするスキルは、「クラウド技術(55.7%)」「データ解析・分析(52.5%)」「AI関連知識・技術(54.1%)」などが多く、社内研修で実施する企業が大半を占めている。
リスキリング施策を「実施しておらず、する予定も無い」と答えた理由として最も多かったのは、「現状特に必要としていない(40.7%)」だった。「実施していないが検討中」と答えた理由には、「リスキリングを実施するにあたっての人的リソースが足りない(52.1%)」「社内にノウハウがない(52.1%)」が挙げられた。
国としては、資金面の補助だけでなく、人(リソース)や情報(ノウハウ)の提供も行う必要がありそうだ。
約6割弱が「リスキリング施策を実施する上で難しいと感じた点があった」と回答
「リスキリング施策を実施する上で難しいと感じた点があった」と回答した人の割合は、57.4%に上った。
最も難しいと感じた点では、「参加社員の業務との両立(40%)」が最も多く、次いで「社員の意欲・モチベーションの維持(22.9%)」となった。リスキリングを成功させるには、長期的な利益を重視して、既存の業務を削減するという投資を行うことなども含め検討していく必要がありそうだ。
なお、同調査の結果データは、同社のWebサイトで確認できる。
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