パーソルキャリアは、同社が運営する転職サービス「doda」において、「正社員の年収中央値」を発表した。
同調査では、年収中央値・平均年収は手取りではなく支給額、順位算出は年収中央値(万円)で順位付けしている。また、中央値とは、データの「位置関係」を軸にした値。データを大きさ順に並べた時に、ちょうど「中央にある値」を指す。平均値の場合、極端に年収が高い人がいれば平均年収が引き上がるが、中央値ではその影響を受けない。
調査の概要は以下のとおり。
- 対象者:2021年9月~2022年8月末までの間にdodaサービスに登録した20~65歳の男女
- 雇用形態:正社員
- 有効回答数:約56万件
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
正社員の年収中央値は350万円
約56万人のデータの年収中央値は、350万円だった。年収分布を見ても、300万~400万円の層が多いことが分かる。一方で、平均年収は403万円だった。平均値が中央値を上回ったのは、年収が高い層が平均値を引き上げたため。
男女別で見ると、男性の年収中央値は400万円(平均年収:449万円)、女性の年収中央値は303万円(平均年収:347万円)となった。
男性の年収中央値は、40歳手前まで年齢とともに緩やかに上昇傾向。一方、女性の年収中央値は29歳で上昇がストップし、50代半ばまで350万~360万円で推移
年齢別で年収中央値を見てみると、20代前半から後半にかけて年収が上昇傾向にあることが分かる。しかし、30歳ごろを境に男女で傾向の違いがみられた。
男性は、40歳手前まで平均値と中央値であまり差がなく、年齢が上がるにつれて年収も伸びている。しかし40代になると、平均値は上昇傾向にあるものの、中央値は500万円のまま横ばいの状態が続いている。
女性は、30歳手前までは平均値と中央値であまり差がなく、年収は上昇傾向にある。しかし、年収中央値は29歳以降横ばいの状態が続き、50代半ばまで350万~360万円を推移。これは、ライフスタイルの変化によって仕事量を調整していることや、昇進する人が少ないことが理由として考えられる。
なお、男女ともにピークは60歳となっている。60歳以降は、再雇用や再就職をする人が多いこともあり、年収が下がる傾向にある。
職種別:年収中央値の1位は「医師」で855万円
年収中央値が高い職種を見てみると、最も高いのは「医師」で、855万円だった(平均年収:1027万円)。「医師」は中央値と平均値の差が全職種で最も大きい結果となった。これは、担当領域が多岐にわたるため、年収の差が生じたと考えられる。2位は「運用(ファンドマネジャー/ディーラー)」で710万円(平均年収:845万円)、3位は「投資銀行業務」で700万円(平均年収:850万円)だった。
業種別:年収中央値の1位は「たばこ」業界で700万円
年収中央値が高い業種を見てみると、最も年収中央値が高いのは「たばこ」業界で、700万円(平均年収:769万円)だった。2位は「投信/投資顧問」で600万円(平均年収:768万円)で、全業種の中で最も平均値との差が大きいことから、収入の個人差が大きい業界であるといえる。3位は「医薬品メーカー」で550万円(平均年収:617万円)となった。
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