なお、本連載に登場する「デジタル人材」は、情報技術分野で活躍するIT人材と、デジタルを活用した企画などで企業のDXを推進する「DX人材」の両方を包含するものとする。
加熱するデジタル人材採用に悩む大企業の声
私が代表取締役を務めるHERPは「採用を変え、日本を強く。」というミッションを掲げ、採用分野においてWebサービスやコンサルティングを提供する企業である。2017年の創業以来、主にデジタル人材の採用を進める企業を中心に採用管理システム「HERP Hire」を提供し、1500社以上に利用いただいている。
当社の顧客はWeb・IT企業、とりわけスタートアップが中心であるが、この数年のDX推進の流れで、メガベンチャーや大企業のDX部門などからの引き合いも増えている。それに伴い、大企業がデジタル人材に対して抱える課題に触れる機会も多くなった。業種・業態によってさまざまであるが、大企業の課題は大きく次の3つに大別できる。
- 世の中に浸透した大企業イメージの呪縛
- 複雑化する採用手法や職種に対応するノウハウの不足
- 現場部門における採用経験・リソースの欠如
とりわけ厄介なのは、1つ目の「大企業イメージの呪縛」である。歴史も規模もあり、会社自体の認知度は非常に高いが、既存の主力事業領域のイメージが強すぎるあまり、DXや(デジタルを活用した)新規事業などに取り組んでいることを知ってもらえないという点はよく聞く話である。大企業が「採用広報」に注力するようになったことも、その要因の1つであると考える。