マイナビは、「2024年卒新卒採用の振り返りと2025年卒の展望」に関するメディアブリーフィングを9月15日に開催。同社が行った調査結果をもとに3部に分けて発表した。
学生の「エントリー」「個別企業セミナー」の活動量が減少している
第1部では同社 マイナビキャリアリサーチラボ 主任研究員 東郷こずえ氏が、2024年卒新卒採用のまとめと見えてきた課題を発表。東郷氏によると、2024年卒新卒採用では次の3つの傾向が見られたという。
- 若者人口が減少する中、採用ニーズはより高まった
- 配属ガチャへの不安と福利厚生への関心に、企業は配慮
- 複数内々定から最後の1社に選ばれる対策
採用ニーズが高まることで採用活動の早期化が進行。過去3年間の3~5月の内々定率は毎年5%ほど前年を上回って推移していることが分かった。
また、東郷氏は特徴的な傾向として、広報活動開始後の学生の活動量が減少していることを指摘。「インターンシップ」「エントリー」「個別企業セミナー」「面接」という就職活動のフェーズごとに学生の行動量を直近3年で比較したところ、本来選考を受ける企業を決める期間であった「エントリー」「個別企業セミナー」の活動が減少している。一方で、「インターンシップ」の活動は上昇した。
25卒インターンシップにおける企業の課題は「日数5日以上」
東郷氏によると、2025年卒の新卒採用でも採用ニーズは引き続き高い傾向が予想されるという。また、インターンシップの実施においては、タイプ3、タイプ4の条件である「日数5日以上」がネックであることが明らかに。しかし、ルール改正後も学生のインターンシップへの意向は高いため、2026年以降のルール改正の動きを注視しながら、対応する必要があると解説した。
囲い込みではなく相互理解で内定へつなげる
第2部では、同社 マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 長谷川洋介氏が「売り手市場」と呼ばれるバブル期と2024年卒の就職活動を比較して、世代間ギャップを解説した。
まず、求人倍率を比較すると、2024卒は1.71倍、バブル期(1991年卒)は2.86倍。バブル時代は、好景気が背景となった売り手市場のため、内定を出すハードルが低下していた。加えて、通信情報手段が未発達であったため、学生を物理的に隔離して他の企業のアプローチを遮断する囲い込みができていたという。
一方で、現在は大卒者数の低下による売り手市場である。企業の採用ノウハウが向上したことで学生への視点も変化し、内定を出すハードルは高くなっているという。さらに、学生の働く価値観の変化により、企業と学生の双方が納得してマッチングするようになった。そのため、学生に対するアプローチも、企業による囲い込みでなく、学生が実現したいキャリアと企業のパーパスが調和しているかといった相互理解の姿勢が効果的となるとした。
続けて第3部では、これまでの分析を踏まえて、同社 マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 沖本麻佑氏とMyCareer事業準備室 室長 三枝靖明氏が、学生の「キャリア学習」を支援するサービスとして、同社が提供しているMyCareerStudyを紹介。大学1~2年時にキャリアの方向性が決まっている学生とそうでない学生の二極化が起こっていることに触れ、早い段階でキャリアについて学ぶ重要性を説いた。
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