リクルートマネジメントソリューションズは、企業の人事担当者150名、管理職層150名を対象に「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2023年」を実施した。
人事・管理職ともに課題の1位は「ミドルマネジメント層の過重負担」
人事担当者に「会社の組織課題」について尋ねたところ、選択数が多い順に、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(65.3%)、「次世代の経営を担う人材が育っていない」(64.0%)、「中堅社員が小粒化している」(63.3%)であった。同社によると、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」が1位になったのは、同調査をスタートした2020年から初めて。ビジネス環境の変化が激しい中で、組織目標の達成や新価値創造の役割に加え、ピープルマネジメントの難度が上がっていることなどが背景として考えられるという。
また、管理職層の回答も、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(64.7%)が最多であった。2位は「中堅社員が小粒化している」(64.0%)、3位は「次世代の経営 を担う人材が育っていない」「新価値創造・イノベーションが起こせていない」「新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている」がそれぞれ62.7%で3つ並んだ。
人事担当者が管理職に期待していることは「メンバーの育成」
人事担当者に「管理職に最も期待していること」を尋ねたところ、最も多かった回答は「メンバーの育成」だった。次いで、「メンバーのキャリア形成・選択の支援」「部署内の人間関係の円滑化」「業務改善」と続いた。
管理職層に「管理職として重要な役割」を尋ねたところ、人事担当者の回答と同じ「メンバーの育成」が最多となった。一方で、2位以降は「部署内の人間関係の円滑化」と「担当部署の目標達成/業務完遂」という結果となった。
管理職層が難しいと思っていることは「メンバーの育成・能力開発」が最多
管理職層に「日々のマネジメント業務で難しいと思っていること」について尋ねたところ、上位から順に「メンバーの育成・能力開発をすること」「既存業務に取り組みつつ、新しい挑戦を行うこと」「自部署の業績・目標を達成すること」となった。
また、「難しいと思っていることに対してどのようなサポートをしてもらいたいと思っているか」と尋ねたところ、「メンバーの育成・能力開発」では「研修などでのインプット」が1番多く選択される結果となった。一方で、「既存業務に取り組みつつ、新しい挑戦を行うこと」では、「人員補給や配置転換」の選択率が高く、現状の組織で対応することに限界を感じている様子がうかがえた。
また、「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」「メンバーの心身のコンディションのケアをすること」では、「上司や人事からの具体的なアドバイス」「外部の専門家によるコーチング」を求める意見が多く、研修などの一律の対応よりも状況に合わせた個別のアドバイスを求めているといえそうだ。
人事の回答を見ると、研修や人事・上司からのアドバイスは半数以上の企業が行っている一方で、外部のコーチングの実施率は23.3%にとどまっている。ただし「これから検討しているサポート」ではコーチングが最も高くなっており、管理職層のニーズと一致している結果となった。
課長・マネジャーになりたい社員が減っている
人事担当者に「課長・マネジャー候補育成・選抜の難しさ」について尋ねたところ、「特に難しさは感じていない」という回答は全体の14.7%となり、大半の人事が難しさを感じているという結果になった。
難しさを感じる内容について、「課長・マネジャーになりたいという社員が減っている」が42.7%で最多となった。次いで「課長・マネジャー候補に向けた育成の進め方」、「課長・マネジャーになる前に必要な経験を積ませること」が続く。
詳細はリクルートマネジメントソリューションズのサイトから確認できる。
なお、調査の概要は次図のとおり。
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