必ずチェック! ポイント
- 働き方改革実行計画に副業・兼業の普及が盛り込まれ、2018年1月に副業・兼業の促進に関するガイドラインが策定された
- 労働者のニーズや過去の裁判例を考慮すると、副業・兼業を認める方向が適当と考えられる
- 社員が副業・兼業を行う際は、労働時間に通算すべき時間や適用される規定を理解し、対応が必要となる
関連サイト・資料
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」
- 厚生労働省「モデル就業規則」
3分でチェック! 副業・兼業の促進に関するガイドライン
副業・兼業の促進に関するガイドラインは、企業と労働者それぞれが副業・兼業に安心して取り組めるよう、副業・兼業時の労働時間管理や健康管理などをまとめたものです。
このガイドラインは、次の項目で構成されています。
- 副業・兼業の現状
- 副業・兼業の促進の方向性
- 企業の対応
- 労働者の対応
- 副業・兼業に関わるその他の制度
企業は、社員から副業・兼業を希望されたときに適切な対応ができるよう、「3. 企業の対応」を把握しておくことが大切です。
<企業が行うべき対応>
- 副業・兼業の基本的な考え方を理解しているか
- 就業規則の整備など副業・兼業に関するルールづくりができているか
- 社員が副業・兼業を行うときの労働時間管理と、健康管理の方法は適切か
- 副業・兼業を希望する社員とのコミュニケーションが十分に取れているか
- 副業・兼業の情報公表を行っているか
本記事の後半では、ガイドラインの要旨のみ抜粋してまとめます。ガイドラインを事細かく読み込む時間がない方や、副業・兼業の促進に関するガイドラインのポイントだけ押さえたい方は、ぜひ参考にしてください。
1. 副業・兼業の現状
ガイドラインによると、副業・兼業の現状として押さえるべきポイントは次の3点です。
- 「収入を増やしたい」「1つの仕事だけでは生活できない」「自分の活躍の場を広げたい」などさまざまな事情で、副業・兼業を希望する人が増加している
- 企業が労働者のプライベートの時間を制限できるケースは限定的。基本的には本人の自由意志で、労働時間以外の時間で副業が可能となる
- 厚生労働省が公開しているモデル就業規則においても、2018年1月以降は「労働者は勤務時間外で副業を行うことができる」と、副業・兼業に関する条文が設けられている
2. 副業・兼業の促進の方向性
企業、労働者それぞれの目線で、副業・兼業のメリットとデメリットを把握することが大切です。
社会全体で見ると、副業・兼業はオープンイノベーションや起業の活性化、地方創世などに有効と考えられます。
3. 企業の対応
企業の取るべき対応の要点のみ表にまとめました。全体像をつかむガイドとしてご活用ください。
4. 労働者の対応
副業・兼業を希望する社員に、次の4つを案内しましょう。
- 勤め先の就業規則、労働契約などを確認し、ルールに従って副業・兼業を選択する
- 副業・兼業の過労で体調不良になったり、本業に支障をきたしたりしないよう注意する
- 勤務時間や健康診断の結果を把握するツールを活用したり、健康相談の機会を利用したりして、自主的に働く時間や健康管理を行う
- 副業・兼業で20万円超の副収入を得た場合は、本業での年末調整に加えて、確定申告を行う
5. 副業・兼業に関わるその他の制度
副業・兼業をする場合、社会保険の加入対象者になるかどうか確認が必要です。保険制度ごとに加入条件が異なるため、必要に応じて社会保険労務士や公的機関に問い合わせるとよいでしょう。
例)労災保険の給付
社員が副業・兼業をしているかどうかにかかわらず、企業が労働者を1人でも雇用していれば強制加入となります。副業・兼業を行っている社員が労災事故にあった場合、複数の就業先の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定を行います。