アンコンシャスバイアスとは? 認知度はわずか2割
アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)とは、認知バイアスの1つで、偏見や先入観、自分の個人的体験からくる誤解や思い込みから、理解・判断・思考などがゆがんでしまうことをいいます。最大の特徴は、そのバイアス(思い込み、先入観)が無意識から生じるということです。
たとえば、内閣府が行った調査[1]によると、性別役割意識について、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」と回答した割合が男女ともに最も高くなっています。
また、同調査では性別役割の「意識」は男性が高く、直接言われた・言動や態度から性別役割を感じた「経験」は女性のほうが多いという結果が見られました。性別による無意識の思い込みは、男女や年代、場面にかかわらず存在しているようです。一方で、「アンコンシャスバイアス」という言葉の認知度は21.4%と低いことが分かりました。
注
[1]: 内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)に関する調査研究」
職場におけるアンコンシャスバイアスの例
アンコンシャスバイアスはさまざまな場面で生じます。たとえば、次のような言説は職場におけるアンコンシャスバイアスの一例です。これらの思い込みに心当たりはないでしょうか。
採用におけるアンコンシャスバイアスの例
- 男性と女性なら、男性のほうを採用するべきだ
- 自分の出身高校と同じ学校の卒業生は信用できる
- 海外大学卒と国内大学卒なら、海外大卒のほうが優秀だ
- 前職の給与が高い人のほうが仕事ができる
処遇・業務におけるアンコンシャスバイアスの例
- 子どものいる女性は出張を伴うような業務に就かせるべきではない
- 家庭を持った男性は家計の主たる担い手であるべきだ
- 受付や案内係は女性のほうがふさわしい
- 女性らしい感性を発揮して仕事をしてほしい
- 同程度の評価であれば男性を先に昇進させたほうがスムーズである
- 自分に笑いかけてくれる相手は自分に対して好意がある
- 相手のためを思えばこそ厳しく接することは必要だ
その他のアンコンシャスバイアスの例
- ゆとり世代は仕事に対して無責任だ
- 若者は全員ITに詳しい
- 年配の社員は生産性に欠ける
これらに共通するのは、過度な一般化が働いていたり、根拠のない判断が無意識に行われたりしていることです。しかし、そのような印象や思考に至る過程がすべて無意識下にあるために、自身で気づきにくいところがアンコンシャスバイアス対策の難しさです。