今回の話者
ITエンジニア
長谷川 智彦(はせがわ ともひこ)
パーソルキャリア株式会社人事本部 人事IT推進部 HRDXグループ リードデータストラテジスト
大学院卒業後2020年にパーソルキャリアへ新卒入社。データアナリストとして事業のデータ分析案件やAIモデルの開発・改善作業、データ活用プロジェクトの企画・プロジェクトマネジメントを担当。2022年度から人事領域でのデータ活用やBI開発、人材育成に取り組んでいる。2023年人事データ保護士の資格取得。
人事
國分 真里奈(こくぶん まりな)
パーソルキャリア株式会社 人事本部 人事マネジメント統括部 DEI推進部 DEI人事推進グループ メンバー
2017年4月に新卒で損害保険会社に入社し、営業経験後、2021年9月にパーソルキャリア 人事企画部へ中途でジョイン。パーソルキャリア全社のDEI施策ならびにタレントマネジメント施策に従事。DEIは主に、女性上級管理職向けのスポンサーシッププログラム、制限のあるはたらき方理解研修を担当し、現在はマネージャー向け施策の企画を立案。2024年度フィジビリ実施予定。
加藤 杏奈(かとう きょうな)
パーソルキャリア株式会社 人事本部 人事マネジメント統括部 DEI推進部 DEI人事推進グループ メンバー
2019年4月に新卒でパーソルキャリアへ入社。新卒採用部を経て、現在は、パーソルキャリア全社のDEI施策に従事。主に、スキル・スタンス研修、座談会、家事・育児代行サービスを担当し、現在はメンバー向け施策の企画を遂行中。
人事のデータ活用スキル習得プログラム
——なぜデータ活用ができる人事を生み出すことになったのか。
長谷川 弊社の人事領域でデータ活用を開始した当初は、私も含めたテクノロジーの専門部隊を中心に、人事の方々にもプロジェクトのメンバーとして混ざっていただく形式で進めてきました。うれしいことに人事組織としてもデータ活用の案件が増えてきたのですが、一方で、このままだと将来的に案件数に対してデータ活用を推進するメンバーが足りなくなり、組織としてデータ活用にブレーキをかけてしまう可能性がありました。
また、前回お話ししたデータマネジメント活動を組織で進めていくことにおいて、我々テクノロジー側のメンバーが人事の業務について理解を深めていくと同時に、人事側でもテクノロジーやデータ活用に対しての知識やスキルを持った“橋渡し人材”を生み出すことが重要だということを、過去の組織の経験から感じていました。
それであれば、人事の方にデータ活用のスキルを習得してもらって橋渡し人材になっていただき、かつ、簡単なデータ分析やダッシュボード開発であれば、専門部隊の対応を待たずとも、人事側で解決できるようになっていただこうということから、“データ活用人事創出プログラム”が始まりました。
——プログラムの内容は?
長谷川 プログラムは大きく次の4つで構成されています。
- 企画ナレッジ:プロジェクトの進め方、業務フローの可視化(BPMN[1]の作成)
- 基礎リテラシー:データ分析の基礎(仮説構築~分析・考察)、ITパスポートレベルのIT知識
- ノーコードツール開発:Google AppSheet[2]でのアプリ開発
- BI開発:ダミーデータを使用したLooker[3]でのダッシュボード開発
プログラムにおけるスキル要件はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開しているデジタルスキル標準[4]や、一般社団法人データサイエンス協会が公開しているスキルチェックリスト[5]を参考にしています。
ただ中には、社内の人事が必要としているものと親和性が高くないスキル要件もあります。そこで、これまでに人事と進めてきたプロジェクトを通して、弊社の人事にとって必要だとされたものにカスタマイズしました。
AI開発やPythonプログラミングなどはあえて入れず、代わりに業務上の課題発見や業務フローの可視化といったビジネス面でのスキルの習得や、データ分析を進めるうえで基礎となる仮説構築~分析・考察までの流れの理解、プログラミングの必要がないノーコードツールでのアプリ開発、BIでのダッシュボード開発などを入れています。
注
[1]: Business Process Model Notationの略。ビジネスプロセスの表記法の1つでOMG(Object Management Group)で標準化が進められている。業務フローを標準化された記号で可視化・整理することで、誰が見てもその業務フローを理解できるようにすることができる。
[2]: グーグルがサービスとして提供しているノーコードアプリ開発ツール。
[3]: グーグルが提供するビジネスインテリジェンスプラットホーム。ダッシュボード上で社内データをグラフなどで可視化できる。
[4]: https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/index.html