次に内製するならBIツールを使う
佐久間氏は、TMS内製の利点を以下のようにまとめた。
「まず、データ利活用という大きな目的の中で、統合データベースを構築するメリットを最大限享受できること。また、最小の機能構成からスタートできるので、使えるものから出していけるのも利点でした。それから、『入力機能はほぼ設けない』といった大胆な機能の刈り込み（機能の省略）ができる点。最後に、やはりLINEという会社のニーズに応じた細かな作り込みができた点は大きなメリットだったと思っています」（佐久間氏）
このような効果をもたらしたP/O-Karteだが、ヤフーとLINEの合併以降は運用を停止。現在は過去データの閲覧機能のみ維持している状態だ。主要なデータの取得元となるシステムが合併に伴って変更され、運用を継続するにはシステムの多くの機能をほぼゼロから再構築する必要があったことや、人材マネジメントのスタイルが変化したこともあり、LINEヤフーとして改めて最適なシステムのあり方を検討した結果、キャリア意向やスキル情報などの入力機能が充実したTMSが好ましいという判断となった。
佐久間氏は「TMSの内製は作り込んでしまうがゆえに、基盤となるシステムの変更には弱いかもしれない」という気づきを得たという。
ゼロからのTMS構築から運用まで経験した佐久間氏は、再度新しい環境で、担当者が自分だけという状況でTMSを内製するなら「まずはBIツールで構築する」と話す。ネックとなる権限の制御も、BIツールによってはある程度まで実現できそうだという。
最後に、「BIツールでつくったものを実際に使ってもらって『便利だね』という合意形成ができたら、エンジニアを巻き込んで開発するのが現実的ではないか」と述べ、TMS内製に踏み出すときのヒントを共有してセッションを締めくくった。
