データ分析とは、アクションにつながるものであること
データ分析と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。Excelなどの表計算ソフトを使って集計しグラフを作成することから、高度な統計学や機械学習を駆使して示唆を得ることまで、思い浮かべるものはさまざまでしょう。
共通していえるのは、分析とは「物事や事象を細分化し要素に分けて、新しい情報を引き出すこと」です。ただし、ビジネスの場面ではこれだけでは不十分で、次の考え方が欠かせません。
「アクションにつながらない分析には価値がない」
事業会社などでビジネスに関わる分析を行うからには、事業であれ人事であれ、ビジネスアクション(=課題解決)につながらなければ意味がありません。
データがたくさんあると、見ているだけで好奇心が刺激され、満足感が得られることがあります。ダッシュボードやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを触っているだけで、何かが分かったような気持ちになり、何時間も経ってしまう、という経験をした方もいるかもしれません。
しかし、具体的なアクションを起こさなければ、ビジネスに価値をもたらすことはできません。データ分析を行う際には、「必ずアクションにつなげる」ということを念頭に置く必要があります。
分析のデザイン
前回、「手元にあるデータだけから判断しない」ということを書きました。人事領域では人や組織に関するデータとして取得できるものは限られています。人事領域に限らず、事業領域の分析においても、目的の分析に必要なデータが手元にあるデータだけでは足りないことがよくあります。
にもかかわらず、とりあえず目の前に集まっているデータだけで分析を行ってしまうケースがよく見られます。本来必要なデータが収集できていないため、高度な統計分析を駆使しても満足な結果が得られない可能性が高いです。
そのため、まずは何が課題なのかを明確にし、それを解決するために必要な情報を洗い出すことが重要です。どのようなデータが必要なのか、どの指標を追うのか、結果に対してどのようなアクションを取りうるのか、といった分析のデザインを行わなければ、ビジネスにおける分析は成り立ちません。
究極的には、この分析のデザインがうまくできていれば、高度な統計学や複雑な機械学習などを使わなくても、簡単な集計だけでビジネスインパクトのある分析が可能です。