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データから高める働きがい 〜人事から組織・事業を成長させるためのアプローチ | 第4回

組織サーベイの分析とその結果を踏まえた組織へのアプローチ《後編》

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 現代の企業経営において、従業員の働きがいを高めることは不可欠な要素です。そのためには、従業員の状態を正確に把握し、適切な対策を講じることが重要です。株式会社SmartHRでは、人事部門の取り組みとして従業員の働きがいを高める施策を積極的に実施しています。本連載では、組織改善に役立つサーベイの活用法を中心に、SmartHRが取り組んでいるさまざまな手法や具体的な事例を紹介していきます。前回(第3回)は、サーベイの回答結果をどう解釈し、組織の強みや課題の深堀りにつなげるのか、その手法について触れました。今回は組織サーベイを活用してどのように組織課題の解決にアプローチしたのか、2つの事例を挙げてご紹介します。

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前回(第3回)の記事

顕在課題へのアプローチ

 1つ目の事例では、組織サーベイの結果から浮き彫りになった課題と、それを改善したアプローチをご紹介します。

 当社では最小単位の組織を「ユニット」と呼び、そのユニットを束ねる役割を「チーフ」としています。さらに複数のユニットを束ねる役割として「マネージャー」がいます。

 また、「スパンオブコントロール」と呼ばれる考え方を用いて、組織の最適人数を設定しています。スパンオブコントロールとは、組織管理のしやすさや組織の効率性・生産性の高さを維持するためには、管理者1名がコントロールするメンバーの人数は5~8名程度とするのが適正だという考え方です。

 しかし、本事例の組織は、事業の急成長に伴い組織人数が急激に増えた一方で、1名のマネージャーに10名以上のメンバーがつくという、いわゆる「文鎮型」の組織でした。そのためか、同組織は毎月のサーベイにおいて、「メイン評価者との1on1は役に立っている」「メイン評価者は信頼できる」という、マネジメントと評価に関連する設問項目において数値の悪化が見られました。

 この結果を受け、人事が複数のメンバーへのヒアリングを行ったところ、スパンオブコントロールに対する懸念評価に対する不満の声が上がってきました。

 そこで、毎月の組織サーベイをフィードバックする場でマネジメント層と相談し、こうした課題の解消に向けて2つの施策を開始しました。

マネージャーが直接管理する人数を削減

 スパンオブコントロールに対する懸念が上がってきた背景には、同組織のマネージャーはユニットのチーフも兼任していたため、管理する人数が多く、メンバー全員に対して目を配り、適切な支援やマネジメントを行うといったことが十分にできないことがありました。

 そこでユニットを4つ増やし、チーフも新たに4名を任命して、マネージャーが直接管理する人数を削減しました。さらに、新任および現任のチーフが安心してマネジメント業務を行えるように、人事との月1回の面談を通して信頼関係を築くとともに、マネジメントをするうえでの悩み事に対する相談機会を設け、人事観点からの支援を行いました。

納得感のある目標設定を行うためのワークショップを実施

 評価に対する不満の理由には、設定された目標に対する納得感が低いことと、評価基準が不明瞭であることがありました。そこで、人事とマネージャー・チーフが連携し、評価の前提にあたる目標設定の重要性をすり合わせるためのワークショップを開催しました。

ワークショップの内容
ワークショップの内容
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 ワークショップは、マネージャーとチーフで組織が掲げるゴールを言語化することから始めました。メンバーが納得感の高い目標を立て、目的意識を持って自律的に働ける状態になるには、マネージャーやチーフが目標設定の重要性を理解し、チームの目指すべき状態について自身の言葉でメンバーに説明できる必要があるためです。

ワークショップで用いたスライド(一部抜粋)
ワークショップで用いたスライド(一部抜粋)
[画像クリックで拡大表示]

 ワークショップで言語化されたゴールは、人事からメンバーへ伝えました。そのための場では、どういう情報があれば納得感のある目標がつくれるのか、メンバーに対話してもらいました。同時に、各自で納得感のある目標設定を目指してほしいという期待も伝えました。これらは目標設定に関して、マネージャー・チーフとメンバーとの間で活発なコミュニケーションを促す狙いがあります。

 さらに、これら一連の施策がどのような効果につながったかを検証するために、メンバーに事後アンケートを行いました。アンケートで収集したコメントは、前述の人事とマネージャー・チーフとの月1回の面談の際に、組織の状態変化や課題を深掘りしていく材料にもなりました。

 こうして組織サーベイから見えた課題に対し、1次情報をもとにマネージャー・チーフとともに改善に取り組めたことが、組織サーベイのスコア改善につながっています。

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この記事の著者

横尾 知宜(ヨコオ トモノリ)

株式会社SmartHR 人事統括本部 組織人事部。新卒でディベロッパーに入社。施設管理業務を経て、人事として中途・新卒採用、制度企画・運用を経験。その後、化学系ベンチャー企業にて中途・新卒採用、HRBPとして従事。2024年5月に株式会社SmartHRにHRBP(Human Resources Bu...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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