三井住友信託銀行が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(ミライ研)は、全国の18〜69歳を対象としたアンケート調査を実施した。
報酬に満足している人は約2割
勤労者の報酬水準への満足度を5段階で調査したところ、報酬に「満足している」の割合は全年代で21.6%にとどまり、「不満を持つ」の33.5%に比べて少ないことが分かった。
年代別では、若年層ほど満足度が高い傾向が見られ、18〜29歳は「満足」の回答割合が、「不満」の回答割合を上回る結果になっている。一方で、年代が上がるにつれて報酬満足度は減少傾向となった(60代を除く)。
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本人の年収別に「会社・団体の報酬水準(給与・賞与・退職金など)」に対する満足度を聞いたところ、年収1000万円付近までは年収と満足度は比例して上昇した。しかし、満足者の割合は年収1000万円の層で頭打ちとなり、それ以上では「満足している」の割合は横ばいとなった。ただし、「とても満足」の回答者は増加している。
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勤労者の報酬満足度と家計行動の関係性
報酬に対して「とても満足」「満足」と回答した人を「満足している群」、「不満」「とても不満」と回答した人を「不満がある群」と称し、この両者の「家計行動」の違いを考察していく。
まず、ライフプランの策定状況は、どの年収区分でも「報酬に満足している群」のほうが、「不満がある群」に比べてライフプランを立てている割合が多いことが分かった。
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また、金融リテラシーの自己評価も比較すると、「報酬に満足している群」のほうが、「不満がある群」に比べて金融リテラシーに自信がある人が多いことが分かる。年収700万円以上で報酬に不満がある人は、およそ4割が金融リテラシーの自己評価が低い結果となった。
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どの年収区分で比較しても、報酬に満足している人は家計の収支把握をしている割合が高く、報酬に満足していない人は、年収が高くてもお金の面で苦労している人が多いことが明らかになった。
報酬満足度を上げるカギは?
企業・団体の立場において、勤労者の報酬満足度を向上させるには、年収の高さによる満足度の向上が見られるため、賃上げなどによる報酬水準の向上は一定程度有効だという。加えて、ここまで見てきた家計行動にひも付けて考えると、勤労者個人の「家計行動に対する支援」も有効になり得ると考えられるとのことだ。
たとえば、職場での金融教育経験がある人は、そうでない人に比べて、報酬満足度が高い人の割合が1.7倍に増えている。特に、年収が上がるほどこの差が顕著になった。
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また、報酬には定例給与などに加え、退職時に支給される「退職金」もある。この退職金の水準を把握している人は、そうでない人に比べて、報酬満足度が高い人の割合が1.9倍と、大きな差となった。こちらも、年収が上がるほど差が顕著になっている。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査名:「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)
- 調査対象:全国の18~69歳。ただし関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く。同レポートでは、職業について「会社員(一般社員)」「会社役員・経営者」「公務員」「みなし公務員」「団体職員」「パート・アルバイト」と回答した者を対象に分析
- 調査方法:Webアンケート調査
- 調査時期:2025年1月
- サンプルサイズ:7609
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