メンバーの創造性を最大化する「オートポイエーシス的組織」
VUCA時代において、組織が持続的に成長するためには、変化に柔軟に対応し、常に新しい価値を創造し続ける必要があります。そのためには、メンバー1人ひとりの創造性を最大限に引き出す組織づくりが不可欠です。
そこで注目されるのが、「オートポイエーシス的組織」という概念です。オートポイエーシスとは、自己言及性と自己創出性を特徴とするシステム理論であり、組織を「自らを生み出し、維持するシステム」と捉える考え方です。
オートポイエーシス(的組織)の考え方は、以下の特徴を持ちます。
- 自己創出性(自己生産性)
- 組織は、環境との相互作用を通じて、自らの構成要素と構造を絶えず再生産します。外部からの指示や命令ではなく、内部の相互作用によって自己組織化するシステムといえます。
- 自己言及性(自己参照性)
- 組織は、自らの活動を観察し、評価し、修正する能力を持ちます。内省と学習を通じて、自己を常にアップデートするシステムといえます。
- 境界の維持
- 組織は、環境との境界を維持し、自らのアイデンティティを確立します。外部の環境から情報を遮断するわけではなく、適切に処理し、組織内部の安定性を保つシステムといえます。
このような組織では、メンバーは与えられた役割をこなすだけでなく、自ら考え、行動し、組織の目標達成に貢献します。組織はメンバーの多様なアイデアやスキルを活かし、創造性と革新性を高めることができます。
オートポイエーシス的組織を活性化するためには、組織構造の変革、情報共有とコミュニケーションの促進、学習と能力開発の重視、そして組織文化の変革が必要です。
組織構造は、従来の階層型からフラット型へ、そしてネットワーク型へと移行する必要があります。情報共有は、オープンで透明性の高いものとし、コミュニケーションは、多様な意見が自由に交換される場を提供する必要があります。学習は、個人の能力開発だけでなく、組織全体の知識創造を促進するものでなければなりません。そして、組織文化は、心理的安全性を確保し、多様な価値観を尊重し、挑戦と失敗を許容することが求められます。
つまり、オートポイエーシス的組織とは、メンバー1人ひとりが主体的に行動し、組織全体が自己組織化する、いわば「生き物のように動き、変化するシステム」であり、そのために創造性は特定の個人に依存するのではなく、組織全体から自然発生的に生まれてくるのです。