合理性と感性を横断するこれからのリーダーシップとHRの役割——創造性を育む組織文化の創造
これからのリーダーシップは、合理性と感性の両方を兼ね備える必要があります。VUCA時代においては、データや論理だけでは予測できない状況が多々訪れます。リーダーは、直感や感性を活かし、状況を総合的に判断する必要があります。
また美しいデザイン、感動的な体験、共感を呼ぶストーリーなど、感性に訴えかける要素は、顧客や従業員の心を動かし、組織の価値を高めます。合理性と感性を融合させたリーダーシップは、組織の創造性を最大限に引き出すために不可欠です。
そして、そのようなリーダーシップを支えるのがHRの役割です。HR部門は、リーダーシップ開発プログラムの刷新、自律分散型マネジメントの推進、感性論的判断を支援する環境づくり、創造性を活性化する組織づくりを通じて、これからのリーダーを育成する必要があります。
具体的には、HR部門は次のような取り組みを行う必要があります。
- リーダーシップ開発プログラムの刷新
- 従来の画一的な研修プログラムから、個人の強みや課題に合わせた個別最適化された育成プログラムへと移行する必要があります。また、リーダーシップのあり方だけではなく、組織論やシステム理論などの関連知識を拡充することが必要です。
- 自律分散型マネジメントの推進
- 権限委譲、責任明確化、情報共有の促進を通じて、従業員の自律性を高める組織文化を醸成する必要があります。また、ジャズバンド型の組織を導入する場合、その導入から軌道に乗るまでHRが推進しつづける必要もあります。
- 感性論的判断を支援する環境づくり
- デザイン思考の導入、多様な経験の提供、フィードバック文化の醸成を通じて、従業員の感性を磨く環境を整備する必要があります。また、個々人の感性を開発できる研修などを開催することも考えられます。
- 創造性を活性化する組織づくり
- イノベーション推進体制の構築、学習と実験の奨励、多様なコラボレーションの促進を通じて、組織全体の創造性を高める必要があります。
HR部門は、従業員1人ひとりの個性と創造性を尊重し、組織全体の創造性を高めるための組織づくりとリーダーシップ開発を推進していくことが求められています。
VUCA時代を乗り越え、組織が持続的に成長するためには、創造的な人材が活躍できる組織デザインとリーダーシップが不可欠です。そして、その実現のためには、HR部門が戦略的なパートナーとして組織全体を支援していく必要があるのです。