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特別寄稿《メンタルヘルス》| 産業医が語る「管理職のストレス構造」

逃げ場なき管理職…… メンタルヘルス不調を防ぐため、産業医が伝えたい「ストレス構造」と「支援策」とは

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 産業医・心療内科医として15年間、1万人以上の働く人たちの心と身体の不調に向き合ってきた筆者。前編では、若手社員のメンタルヘルス不調について、職場で失われた「非言語コミュニケーション」の重要性や、管理職と若手社員の間に生じたギャップをどう埋めるかという視点から考察した。後編では、管理職が抱える悩みについて論じる。

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若手のメンタルヘルス不調の理由を解説した前編

管理職の健康に影響を与える「部下の価値観の変化」

 最近では、管理職は「罰ゲーム」とさえいわれるようになり、なりたい人が明らかに減少している。その背景には、プレイングマネージャーとして自分自身も業務を担わなければならない負荷の高さや、部下の性質や価値観が従来と大きく変わってきたことがある。

 特に後者の変化は大きい。けっして良いことではなかったが、かつては理由を告げない指示や頭ごなしの指導でも、上下関係の中で部下が従っていた。しかし現在では、そういった対応に部下が強い不満を抱き、転職やメンタルヘルス不調に発展することが珍しくなくなっている。

 このような状況の中で、管理職がていねいな指導や配慮を試みても、今度は自分のストレスが増したり、部下から別の不満が噴き出したりしてしまう。問題を解決しないまま業務は進行し、結果として管理職自身がメンタルヘルスを崩すことも多い。

 実際に面談でも、「部下にどう接したらよいか分からない」という相談を受けることが増えている。こうした相談は以前から存在していたが、かつては「困っている」といった愚痴の範疇にとどまり、管理職本人の健康に深刻な影響を与えることは少なかった。

 ところが最近では、「メンタル不調者を出さないよう人事や上司から指示されている」「本人が遅刻をしても反省の態度を見せない」「部下が発達障害の可能性があるため通常の業務を与えてよいか判断できない」などの声が頻繁に聞かれるようになった。

 メンタル不調者に対する理解が広まりつつあることは社会的には歓迎すべき変化であり、一定の成果であるといえる。しかし同時に、「会社で給与を受け取りながら働く」という大前提を見失った対応が目立つようになっているのも事実であり、それが部下本人の働き方にとって本当によいのかどうか、立ち止まって考える必要がある。すなわち、業務を行うという大前提のもとに、指導や体調のケアを考えるべきなのだ。

指導やケアを考えるときは、まず「疾病性」と「事例性」を切り分ける

 こうしたときに、我々産業医をはじめとする産業保健職の間では、「疾病性」と「事例性」という2つの視点を用いて対応を考える。

 疾病性とは病気そのものの症状を指し、「頭が痛い」「夜眠れない」「動悸がする」といった訴えが該当する。この場合には、医療機関の受診や生活習慣の改善といった医学的対処が必要になる。また、会社としては、医療機関の紹介や生活記録ツールの導入などで支援できる。

 一方で事例性とは、会社生活に支障をきたす行動であり、「遅刻」「無断欠勤」「会議中の居眠り」「周囲に対する威圧的な言動」などが含まれる。

 これらは就業上の実害を伴うため、雇用契約を果たすうえで必ず改善が求められる。もしも改善が不可能な場合には、休職や雇用契約の見直しといった判断を検討する必要もある。

 そして、疾病性によって事例性が生じている場合は、治療や医療的アプローチが必要になるし、そうでない場合は社会人としての行動規範にのっとった指導が不可欠である。

 ところが現場では、この切り分けが曖昧なまま、「病気かもしれないから」と過度に配慮してしまったり、逆に強く叱責してしまって疾病性の側面を見落としてしまったりといったアンバランスな対応が散見される。

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責任はプライベートにも——逃げ場がない管理職

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特別寄稿《メンタルヘルス》連載記事一覧
この記事の著者

吉田 英司(ヨシダ エイジ)

株式会社ベスリ(https://besli.co.jp/) 代表取締役 産業医・心療内科医臨床研修終了後、米系コンサルティングファームのベインアンドカンパニーでビジネスコンサルタントとして約3年間働く。会社組織の中で働くという視点から産業保健に興味を持ち、総合電機、半導体開発製造、外資IT、外資化学...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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