採用への想いを具現化する、ニトリの6つの取り組み
さらに、天野氏は3つ目のアジェンダとして、採用への想いを具現化していくためにニトリが、現在取り組んでいる事例6点を紹介した。
まず、1点目が公正採用宣言の策定。ニトリでは男女雇用機会均等法に基づき、就職活動におけるハラスメント行為に対する指針を示しているが、それをオフィシャルに発信するとともに相談窓口を設置したり、リクルーターが使用する名刺の裏側にもハラスメント行為を行わないことを約束として示している。
2点目がインターンシップだ。
「まずは、『ここから始まる!自分発見ライブ』。さまざまな取り組みを通じて自分自身の価値観を発見していきます。それが分かった段階で、次にさまざまな就業体験型のコースへと進みます。さらに、低学年に至っては徹底的に『WILL』と向き合ってもらうために発見編・創造編・準備編という3つのステージを用意しています。最終的に、それらを就職活動や大学での学業につなげていくのは、とても良いサイクルだと思っています」(天野氏)
なお、昨今は就職活動の早期化という言葉が取り上げられているが、天野氏は良い早期化と悪い早期化を区別して捉える必要があると指摘した。周囲が就職活動を始めているからといった理由だけで、十分に考えないまま早く動き出すことは望ましくない。一方で、低学年次から自分自身の夢や成長の目的を見つけ、それを勉学や企業選びに生かしていくような早期のキャリア意識は意義があるという。
3点目が大学での授業への登壇。採用活動におけるニトリの先進性が大学の関係者に知れ渡り、昨今ではキャリア構築に関する授業登壇依頼が増加しているという。実際の講義では、会社説明はほとんどせず、ほぼすべてをキャリア教育の場として位置付けている。もちろん、大学のキャリアセンターでもキャリア論は教えている。それが、企業に入ってから重要であることを人事の視点から伝えていくことで、点と点がつながり線となることを学生に気づいてもらえるのではと天野氏は期待を寄せている。
4点目が面接で問う働く目的だ。
「いざ、選考に進んでいただいた方には、1次面接から最終面接まで『あなた自身が働く目的は何ですか』と問い続けています。なぜなら、そのプロセスを重ねることで本人の価値観とニトリが考えるロマンが重なっているかがしっかりと確認できるからです」(天野氏)
実際、多くの学生は表面的な自分と表面的な企業を照らし合わせるにとどまっている。それでは、マッチングは行えないし、入社してからリアリティショックを受けて退社してしまうと天野氏は危惧している。
5点目が就業レディネスというキーワード。これは、内定後も本人が「自主的」に学べる環境を提供することを意味する。ニトリでは、内定者に入社前の教育MAPを手渡している。そこには、新社会人に求められる必要な要素やそれを学ぶためのコンテンツを書き記している。それらは当然ながら、入社後の教育体系MAPともつながっているという。
6点目として取り上げたのは、天野氏が考えている描きたい理想のフローだ。
「大学での学びが最も重要なのはいうまでもありません。そのうえで、まず低学年次はキャリアデザインを学ぶために、低学年向けのインターンシップに参加し、夢の『発見』『創造』『準備』を通じて自身の価値観を持っていただきます。次に就活年次になったら、就業体験型各種インターンシップに参加しながら、働き方や企業の理解を深めてもらいたいです。その後、選考を通じて内定を取った後も就業レディネスを通じて状態を上げていただきたいと思います」(天野氏)
天野氏からすると、ニトリの取り組みもまだまだ道半ばとのこと。「不完全なところがありますが、引き続き採用への想いをしっかりと具現化していくために、尽力していきたいです」と語った。

