jinjerは9月10日、「新経営体制・事業戦略発表ラウンドテーブル」を開催した。
2016年に事業を開始し、来年で10周年を迎える同社。昨年に株主、経営体制が一新したことをきっかけに現在は「第二創業期」を掲げている。
代表取締役社長 CEOの冨永健氏は、HRテックの市場環境について「現在はだいたい1800億円のマーケット。注目は、年平均29.5%増で成長を続け、2028年度には3900億円の市場規模になるといわれている点だ。これほど著しいスピードで成長するマーケットはなかなかない」と説明した。

冨永氏は、その主な社会背景を「労働人口の減少」と「価値観の多様化」の2つに整理。この課題を解決するソリューションとして、労務管理システムやタレントマネジメントシステムなど数多くのHRテックが存在していると紹介した。しかし、それぞれのシステムを使って個別の課題は解決できたとしても、さらなる大きな課題が生まれているという。
「システムを導入すると、そのシステムごとにデータベースが存在し、いわゆる“ばらばら”“ぐちゃぐちゃ”“まちまち”の状態で人事データが存在することになる。人事データが整理されていないことで、集計は困難を極める状態が顕在化しはじめている」(冨永氏)

一方、勤怠システムの提供から展開してきた同社は、機能を追加するたびに、1つのデータベースを更新する仕組みで開発してきた。機能ごとのデータベースが存在しないため、必ず1人の従業員に対して1つのデータのみが存在する状態を実現。この統合型人事データベース「ジンジャー」を利用することで、人事データの整理や集計の負荷を下げられるという。
さらに冨永氏は、「統合型人事データベースの利点はデータ整理の手間が減るだけではない。あらゆる組織や従業員の課題を、さまざまな視点からリアルタイムで見つけ出せる」と胸を張った。
続けて、統合型人事データベースとしてジンジャーがNo.1になることを目指すと宣言した冨永氏。そのための戦略として「プロダクト」「エコシステム」「組織強化」の3つの戦略を挙げた。

また、今後ますます企業の取り組みが加速するであろうAI活用でも、統合型人事データベースはアドバンテージがあると強調。すでに正しい人事データの一元管理を可能としている今のジンジャーに、今後は「AI-Readyな基盤構築」「多数のAIエージェント機能」といったアップデートを予定しているという。
最後に冨永氏は、AIによって実現できる未来として入社手続きや人員配置提案の自動化を例として紹介し、ラウンドテーブルを締めくくった。

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