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デザイン経営とHR戦略 | 第4回

企業成長を加速させる「組織文化のデザイン」《前編》 組織文化とは何か、そのデザインとは何をすることか

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組織文化をデザインするということ

 最後に、「デザイン」という言葉について考えてみましょう。本連載の第1回でも説明したように、デザインとはイロ・モノ・カタチを美しくつくることだけではなく、「既存の状況を、より好ましい状況に変えるための行為」すべてを意味します(ハーバート・A・サイモン『システムの科学【第3版】』パーソナルメディア、1999年)。

第1回の記事

 このデザインの定義を組織に当てはめると、組織文化のデザインとは、現状の組織文化を分析し、目指すべき姿を描き、それを実現するための具体的な仕組みや働きかけを意図的につくり上げていくプロセスと考えることができるのでないでしょうか。それは、単に耳ざわりの良いスローガンを掲げることや、研修を実施するだけでは達成できません。組織全体を包括的に捉え、その相互作用のパターンに深く関与していく営みが求められるのです。

 これまでの考え方をまとめると、「組織文化のデザイン」は次のように捉えられます。

 組織を、静的で固定化された「器」と捉えるのではなく、多様な関係者間の相互作用によって日々つくられていく「生き物」のようなものだと考えること。そして、その「生き物」のあり方を規定する「文化」は、日々の積み重ねや習慣によって形成され、気がつくと「そうすること、そうあることが当たり前で誰もが疑わないもの」になったものであるということ。だからこそ、この文化を意図的に、そして良い方向へと導くためには、文化をつくり上げていく核となる「制度」と「組織ルーティン」を、従業員にとってより良いものにデザインしていくことが不可欠となります。そして、既存のルーティンを組織学習の観点から常に問い直し、必要に応じて批判的に解体していく視点も欠かせません。

 さらにいえば、組織のあり方と文化がつくられていく生成変化に常に敏感になり、それらをさらに良いものへと方向付けていくデザイン的営為を継続することが重要になるのです。これは1度行えば終わりというものではありません。常に変化する環境や従業員の状況に合わせて柔軟に見直し、改善していく長期的なコミットメントを必要とします。だからこそ、まさにHRチームこそが組織文化のデザインという複雑で奥深い営みの鍵を握っているのです。

HRチームに求められる役割:未来をデザインする視点

 HRチームが組織文化のデザインにおいて鍵を握る理由は、その役割が単なる「人事管理」にとどまらないからです。HRチームは採用、育成、評価、報酬といった人に関わるあらゆる制度を設計し、運用する役割を担っています。これらはまさしく、組織における「制度」と「ルーティン」を具体的に形づくるものです。

 また、HRチームは従業員1人ひとりの声に耳を傾け、組織全体の状態を俯瞰的に把握できる立場にあります。これは、組織が「生き物」のように常に変化していることを捉え、その生成変化に敏感になるうえで不可欠な情報源となります。HRチームがこの情報を適切に分析し、組織文化の現状を把握することから、デザインの営みは始まります。

 では具体的に、HRチームはどのように組織文化のデザインに取り組めばよいのでしょうか。ここで注目したいのが、起業家研究者であるサラス・サラスバシー[1]が提唱する「エフェクチュエーション」理論です。次回は、このエフェクチュエーションに基づく組織文化のデザインとHRの役割について解説します。

[1]: サラスバシーは、先ほどデザインの定義について引用したハーバート・A・サイモンの最晩年のお弟子さんでもあります。

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この記事の著者

井登 友一(イノボリ ユウイチ)

株式会社インフォバーン 取締役副社長。立命館大学経営学部教授。デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年にインフォバーンに入社。京都支社長を務めるとともに、デザインストラテジストとして活躍。2016年よりUXデザイン/サービスデザインを中心としたイノベーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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