ABABAは、26卒予定の大学4年生、および修士課程2年生のうち、「これまでに内定を獲得したことがある」という就活生を対象に、「内定式シーズンにおける就活生の意識調査」を行った。
半数以上が複数内定保持、「決めきれない就活」が常態化
現在の内定社数を質問したところ、「1社」と回答した就活生は48.0%にとどまり、「2社以上」の内定を獲得した就活生が過半数の52.0%であることが分かった。さらに、「3社以上」の内定を保有している就活生においても3割近い29.0%となり、複数内定を前提にした就活が一般化していることが考えられる。

半数以上が夏前に就活終了、一方で秋まで迷う就活生も
就活を終了した時期について聞いたところ、「4月頃」が18.7%と最も多く、次いで「5月頃」が18.0%と続いた。「2月以前」から「5月頃」までに就活を終了した就活生は57.4%と過半数に達し、就活の早期化が顕著であることが分かる。
一方で、「6月頃」以降に就活を終えた就活生は32%、さらに「現在も継続中」と答えた就活生が10.7%と、夏以降にかけても就活を続ける就活生が一定数いることが明らかになった。就活の「早期化」と「長期化」が顕著に表れる結果となっている。

6割が内定を辞退せず保留、「決めきれない就活生」の実態
入社する可能性が低い企業への内定辞退の状況を聞くと、「すべて辞退した」と答えた就活生は40.3%で、59.7%は一部またはすべて辞退していないことが分かった。約6割の就活生が、入社する可能性が低い企業の内定をキープしている状況が明らかになった。
就活生が、内定を獲得してもなお、比較検討を続ける姿勢を示しており、企業にとっても内定を出した時点ではまだ候補のひとつに過ぎないことが分かる。

4割を超える就活生が企業を比較・選別する「最終判断の場」
前問で「一部辞退していないものがある」「まだ一社も辞退していない」と回答した人にその理由を聞いたところ、「内定式で入社するか否かを見極めたい」が42.5%で最多となり、次いで「滑り止めとしてキープして就活を継続している」が40.8%と続いた。
内定式が形式的な儀式ではなく、就活生が企業を比較・選別する「最終判断の場」と化していると考えられる。また、「就活の軸が曖昧で判断に迷っている」という回答が16.8%で、決断を回避している心理も一定数見られた。

8割超が内定式に参加予定、就活生にとって重要な「接点」に
内定式に参加する予定はあるか質問したところ、82.3%の就活生が「はい」と回答した。参加しないと答えたのは17.7%にとどまり、大多数の就活生が内定式を重視していることが分かった。
内定式が形式的なイベントではなく、就活生にとって企業との重要な接点であり、意志を固めるうえで欠かせない場となっていることを示している。

複数の内定式に出席する就活生が2割近く
前問で「はい」と回答した人に、内定式に参加する予定の企業数を聞くと、「1社のみ」が80.6%で大多数を占めた。一方で、「2社」が13.0%、「3社以上」が6.5%と、複数の内定式に参加する就活生が2割近く存在することも明らかになった。
複数の内定を保持したまま意志決定を先送りし、内定式を比較検討の場として利用する就活生が一定数存在していることを示している。

企業は内定者が内定式に出ても安心できず、3人に1人は辞退の可能性あり
内定式に参加した企業の内定を辞退する可能性があるか聞いたところ、35.3%が「はい」と回答した。3人に1人以上は、内定式に参加しても入社意志を固めていないことが明らかになった。

約半数が、内定式は「入社を最終的に判断する場」だと考えている
内定式とはどのような場だと感じているか質問すると、「同期や仲間とつながる場」が35.0%、「企業や社員の雰囲気を知る場」が34.0%と、交流や情報収集の機会としていることが分かった。しかし、「企業から祝福される記念の場」が26.3%にとどまり、従来の「祝辞の場」としての役割ではなくなってきていることが考えられる。
一方で、最も多かったのは「入社意思を最終的に確認する場」が36.0%であり、さらに少数ながらも「入社に値するかを見極める場」が12.3%だった。これらを合わせると、約半数の就活生が内定式を入社するかどうかを「最終的に判断する場」と捉えていることが明らかになった。

心から納得できていない内定の実態、4割近くが「納得度50%以下」
入社予定先への納得度を0〜100%で聞いたところ、「100%」と完全に納得している就活生は19%にとどまった。一方で、「50%以下」と回答した就活生が38.6%と、4割近くが不満や迷いを抱えた状態で内定を保持していることが明らかになった。
特に、「30〜40%程度」と低い納得度にとどまる就活生が18.3%存在しており、滑り止めの内定はあるものの心から納得できていないという状況がうかがえる。

納得感のカギは「待遇」と「将来性」、就活生は確信を求め続ける
入社先への納得度「0~90%」と回答した人に対し、どのような条件が満たされたら100%になると思うか聞くと、「待遇(給与・勤務地・福利厚生・リモート制度の有無など)」が38.7%で最も多く、次いで「会社の将来性・安定性」「労働環境(労働時間/勤務体制)」が同率で30.9%と続いた。
さらに、「企業の知名度・ブランド」が28.8%、「仕事のやりがい」は27.6%と高い割合を示しており、就活生は安心して働くことができ、企業の一員として誇りが持てる環境を求めていることがうかがえる。

3人に1人が就活の軸を見直し 納得できぬまま進む就活生も多数
就職活動に当てはまるものを質問したところ、最多は「就活の軸や志望業界などを根本的に見直した」で37.0%となり、多くの就活生が活動の途中で方向性を修正していることが分かった。
また、「内定先に対してなんとなく納得していないが内定を承諾した」が29.7%、「内定を承諾したあとに新たにほかの会社にエントリーした」が22.0%と、内定後も迷いを抱えながら行動している就活生が少なくない。さらに、「内定承諾を焦って決めたと後悔している」が17.7%、「就活浪人(留年)が頭によぎった/決めた」が12.3%、「就活を中断したのち再開した」が12.0%など、迷いや不安がうかがえる。

「納得できない内定」が再就活を招く、4割超が不安や迷いを理由に「就活2周目」
前問で「就活を中断したのち再開した」または「内定を承諾したあとに新たにほかの会社にエントリーした」と答えた人に理由を聞くと、最多は「内定は出たが納得度が低かったため」と、「就活を急ぎ過ぎて本当に行きたい会社を見落とした気がした」がともに44.6%で並んだ。
さらに、「もっとほかに自分に合う会社があると思った」が32.6%、「選考の時には見えなかった不安点(社風・待遇など)があとから見えてきた」が22.8%と、内定後も就活生が不安や迷いを抱え続けていることが分かった。早期に内定を獲得した就活生が、焦りや不完全燃焼を感じ、「就活2周目」に駆り立てられていると考えられる。

第1志望は必ずしも最初の内定ではない、2社目以降が半数超
入社する可能性が最も高い企業の内定は何番目にもらった内定かを聞くと、「1番目」が42.7%と最も多い一方で、「2番目」が26.0%、「3番目」が16.3%、「4番目」が8.3%、「5番目以降」が6.7%と、半数以上となる57.3%が2社目以降の内定に入社意欲を示す傾向が明らかになった。
最初に獲得した内定が必ずしも最終的な入社先にはならないことを示しており、就活生は就活を進める中で経験や視野を広げ、より納得感の高い選択肢を模索していると考えられる。

企業の「連絡不足」と「過剰なフォロー」に不満
企業からの内定者へのアプローチで印象が悪くなったことを質問したところ、「連絡の頻度が少なすぎる」が最多の26.3%で、内定後も継続的な接点を求める就活生が一定数いることが分かった。
一方で、「懇親会の回数が多すぎる」が23.0%、「内定者課題が多い」が22.0%、「連絡の頻度が高すぎる」が17.3%といった過剰なフォローに対する不満も見られた。

なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査対象:2026年3月卒業予定の大学4年生、修士課程2年生
- 調査機関:ABABA
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2025年9月8~13日
- 有効回答数:300名
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