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イベントレポート《人的資本経営》| 第4回 科学的人事アワード

三菱重工業、コスモエネルギー、サッポロビールなど7社が「科学的人事アワード」大賞に 各社の共通点は?

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 プラスアルファ・コンサルティングが11月27日に開催した「第4回 科学的人事アワード」で、三菱重工業、コスモエネルギーHD、サッポロビールなど7社が大賞に輝いた。本稿では、各企業の受賞理由をレポート。人事データを活用し、人的資本経営の実践に向けた組織構築や従業員のキャリア自律支援といった全社の共通の取り組みなどが浮かび上がってきた。

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グループ5万人の人事データを集約・活用している三菱重工業

 プラスアルファ・コンサルティングは11月27日、同社が提供するタレントマネジメントシステム「Talent Palette」の導入企業の中から、科学的人事を推進および活用し、意欲的・先進的な取り組みを行う企業を表彰する「第4回 科学的人事アワード」を開催。大賞7社を発表・表彰した。

 大賞を受賞した企業とその理由は次のとおり。

コスモエネルギーホールディングス株式会社

 グループ会社横断でのデータ統合で「勘」から「ファクト」へ転換し、自律的キャリア形成を促す人的資本経営を推進したことが評価された。

 同社は、「我々のミッションはエネルギーのトランジションを実現して供給し続けること。それに挑戦していくためにも、人材データ基盤を整備し、経営戦略と人材戦略を一体化させることが必要だった。我々の取り組みのポイントは3点。第1に10年後を見据えた人材戦略。第2に経営・人材戦略と連動したグループ人事データ基盤の構築。第3にキャリアを社員自らつくり上げるための施策展開だ。今後も人材データ基盤を社員と会社の成長につなげていけるよう、磨きをかけていきたい」と述べた。

三菱重工業株式会社

 人材育成の環境を充実し、規則・組織・システム構成を改革。グループ横断での自立・挑戦を促す環境を提供することで、社員5万人のデータ活用を推進したことが評価された。

 同社は、「当社は『総力戦』をテーマに掲げ、組織力強化に取り組んでいる。具体的な取り組みとして3点挙げたい。1点目がHR部門の変革。戦略企画・制度設計・施策推進・オペレーションの4機能に再編するとともに、事業部専任のHRBPを組織化した。2点目がTalent Paletteの導入。ダッシュボード機能を活用して、グループ5万人のデータを全国のライン長とHR部門に公開。HRが事業部と対話するためのツールとしても活用している。3点目はグループを横断した自律的なキャリア形成だ。タレントパレットの社内公募機能を活かして社内の流動性を高めている。今後も『総力戦』に向けて進んでいきたい」と述べた。

プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン株式会社

 グループ横断でポテンシャル人材の可視化を推進し、経営戦略と人事戦略の連動の土台を構築。人材のダッシュボード化による戦略的な配置と育成を実現したことが評価された。

 同社は、「生保業界には今大きな変革が起きており、我々のグループ3社も人材データを統合し、経営戦略と人事戦略の連動に活かしていく必要がある。タレントマネジメントシステムの導入後、人材データが集約されたうえで、実際にどう活用するのか、いかに社員のために役立てるかが次のテーマだった。ここで留意したのは、上司と部下との関係に閉ざさないことだ。さまざまな情報を活用してポテンシャル人材を全社レベルで可視化した。さらには、人材の定着に向けエンゲージメントの維持・向上にも努めた。現状、データは集積してきたが、どう活用するかはまだ模索中だ。研鑽を重ねていきたい」と述べた。

株式会社オプテージ

 各施策で収集したデータを分析・可視化し、科学的人事を推進および生成AIに独自のプロンプトを構築・反映させ、人事評価制度の高度化に挑戦したことが評価された。

 同社は、「当社は上司・部下のコミュニケーション深化が大きなテーマだ。2021年に人事制度を刷新。あわせて、従業員の人事情報を一元管理する必要があると考え、タレントマネジメントシステムを導入した。現在は、各種人事施策で集まったデータを分析し、緻密かつ総合的な人材マネジメントを実現している。また、経営層も意思決定のエビデンスとして人材データを活用している。さらに昨今では、全社的に生成AIの活用も進めており、2025年4月には『AIアドバイス機能』を使った評価制度の運用をスタート。同年10月にはプロンプトも設計した。今後も個人と会社がともに進化できる環境づくりに磨きをかけていきたい」と述べた。

次のページ
「越境せよ」を理念に人事制度改革と組織風土情勢に挑むサッポロビール

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この記事の著者

袖山 俊夫(ソデヤマ トシオ)

上智大学法学部卒。上場企業に入社し、宣伝部に在籍。その後メディア・コーディネーターとして独立。以来、多くのフリーランススタッフと案件ごとにユニットを編成し、大手新聞社グループ各社が発行する媒体のコンテンツ制作をハンドリングする。現在は、執筆業に専念。経営やHR分野を中心に、企業経営者や人事責任者、大学教授などのイン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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