日本人事経営研究室は、全国の中小企業で「人事評価制度を運用している」経営者および役員100名と、全国の中小企業で「人事評価制度を運用していない」経営者および役員100名を対象に、人事評価制度の運用状況とそれによる企業への影響について調査を実施した。
同調査によると、人事評価制度を運用している中小企業の92%が直近1年以内に賃上げを実施していたのに対し、未運用企業では44%にとどまった。また、業績向上を実感している割合も制度運用企業が53%、未運用企業は26%となり、その差は顕著であった。従業員のモチベーション向上や昇進・昇格のスムーズさ、賃上げの実現など、制度運用による幅広い組織改善効果が示された。運用企業の90%が「社員に対する評価が適正」と感じているが、未運用企業では53%にとどまっている。
さらに、社員の離職原因を把握している割合にも差が見られた。制度運用企業では理由を把握できている一方、未運用企業の44%が「わからない」と回答しており、経営層と従業員間のコミュニケーション不全が課題として浮上した。目標を持って業務に従事する社員の割合も、制度運用企業が83%で未運用企業の60%を大きく上回った。社員育成についても、制度運用企業の75%が「十分にできている」と考えており、未運用企業の52%との差がみられた。
人事評価制度を導入しない理由として多かったのは「導入しても効果を感じにくいから」(28%)や「他の優先事項があるから」(25%)、「ノウハウ不足」(22%)であった。経営計画の運用に関しても運用企業の82%が経営計画を併用しているが、未運用企業では30%にとどまった。
日本人事経営研究室は今回の調査を通じて、人事評価制度が単なる査定手段にとどまらず、組織成長の重要な要素であることを強調。導入の検討時には、経営計画と連動した仕組みづくりが特に中小企業の成長に有効であるとまとめている。
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