必ずチェック! ポイント
- 過半数代表(従業員代表・労働者代表)は、管理監督者以外の労働者の中から、雇用形態を問わず労働者の過半数の意思に基づいて選出されなければならない。
- 過半数代表の選出にあたっては、選出目的を明確にしたうえで、投票などの民主的な手続きを行う必要があり、使用者による指名や形だけの選任は認められない。
- 選出手続きが適切でない場合、36協定や労使協定が無効となる恐れがあるため、正しい選出方法と注意点を理解することが重要である。
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3分でチェック! 過半数代表(従業員代表)の選出手続き
36協定などの労使協定を締結する際、企業は従業員の過半数を代表する者と書面による協定を結ぶ必要があります[1]。また、就業規則を作成・変更する際にも、過半数代表者の意見を聴取することが義務付けられています。
注
[1]: 労働者の過半数で組織する労働組合(過半数労働組合)がある場合はその労働組合が協定の主体となります。過半数労働組合がない場合には、過半数代表者が労使協定の締結主体となります。
過半数代表とは、事業場に所属する労働者全員の意思を反映し、民主的な方法によって選出された労働者を指します。企業が一方的に過半数代表を指名したり、全労働者の意見を十分に確認しないまま選出した場合、その過半数代表との間で締結した36協定や就業規則が無効と判断される恐れがあります。
本記事では、過半数代表の適切な選出手続きと注意点について解説します。
過半数代表の定義
「労働者の過半数を代表する者(過半数代表)」とは、その事業場の労働者全員の意思に基づいて選出された代表のことです。「労働者の過半数を代表する者」の選出にあたっては、次のいずれにも該当する者を選ぶ必要があります。
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- 全労働者の過半数を代表する者であること
- 正社員だけでなく、アルバイトやパートも含めて、事業場すべての労働者を代表していることが必要です。正規雇用、非正規雇用は問いません。
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- 管理監督者でないこと
- 労働基準法第41条第2号に規定する「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)」は、過半数代表になることができません。管理監督者とは、部長、工場長など役職名にかかわらず、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。
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- 法令にのっとった民主的な手続きにより選出されること
- 過半数代表は、投票や挙手等による民主的な手続きで選出が必要です。具体的な選出の手続きは、次の章で解説します。
過半数代表を選出する方法
過半数代表を選出する際は、投票や挙手などの民主的な方法により、従業員の意思に基づいて選出を行う必要があります。具体的な流れは次のとおりです。
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- 選出について従業員に周知する
- 過半数代表の選出目的を明らかにした状態で、選出が必要であることを事業場の全労働者に周知します。選出の目的としては、「36協定を締結するための過半数代表を選出する」「就業規則の意見を聴くために過半数代表を選出する」などが挙げられます。
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- 立候補者を募る
- 事業場の全労働者に対し、期日を決めて過半数代表の候補者を募ります。立候補者の募集は、朝礼や全社メールでの配信、イントラネット掲載、文書配布、事業場への掲示などで行うとよいでしょう。
- なお、立候補者が出ない場合は、会社が「推薦」することも可能です。
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- 民主的な方法で選出する
- 立候補者の中から、過半数代表者を適正に選出します。
- 適正な選出とは、投票や挙手、労働者による話し合い、持ち回り決議など、労働基準法施行規則第6条の2で定められた方法を指します。
- いずれの選出手続きをとる場合も、全労働者の過半数が立候補者を支持していることが明確になる民主的な方法であることが求められます。企業の意向に基づき選出された者は、過半数代表と認められません。
- また、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者を手続きに参加させることが必要です。
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- 過半数代表を事業場に周知する
- 過半数代表が確定したら、その旨を事業場の全労働者に周知します。
過半数代表を選出する際の注意点
過半数代表を選出する際の注意点は、次のとおりです。
(1)選出をスムーズに進めるための準備や配慮を行う
過半数代表者が事務を円滑に遂行できるように配慮が必要
過半数代表者が、意見聴取などの事務を円滑に遂行できるよう、企業には配慮することが求められます。たとえば、労働者の意見を集約する際に、メールやイントラネットなどの事務機器やシステム、または事務スペースの提供を行うことが挙げられます(労働基準法施行規則第6条の2第4項)。
労働者の意思を反映させるための工夫
中には、派遣労働者のように、事業主と意見交換をする機会が少ない労働者もいます。過半数代表の選出を目的とした投票などと合わせて、労働者の意見・希望を提出してもらうことで、労働者の意思を反映させることが望ましいでしょう。
(2)選出手法に関する注意点
全労働者の意見を聴かずに自動的に選任した場合
過半数代表を使用者が指名することや、社員親睦会の幹事・社内委員のチームリーダーなどを自動的に選任することは認められません。あくまでも、過半数代表のプロセスにのっとって選出された人のみが認められます。
万が一、過半数代表の選出方法が不十分な場合は、その過半数代表が協定する36協定なども無効となるため注意が必要です。
メール・イントラネットなどで労働者の意思を確認する場合
労働者の過半数が、選任者を支持しているかどうかを確認する際は、電話や訪問など直接的なコミュニケーションで意見を聴くことが推奨されています。
たとえば、労働者にメールで通知を行い、メールに返信のない人を信任(賛成)したものとみなす方法は、認められないとされています。
(3)その他の注意事項
不利益取り扱いの禁止
労働者が過半数代表であることや、過半数代表になろうとしていたこと、過半数代表として正当な行為をしたことを理由として、労働条件について不利益な取り扱いをすることは禁止されています(労働基準法施行規則第6条の2第4項)。
たとえば、解雇や賃金の減額、降格など、労働条件の不利益取り扱いはしてはいけません。
相談窓口
過半数代表の相談に関しては、最寄りの労働局や労働基準監督署が窓口となります。

