コーナーは、企業の人事担当者259名を対象に「AI時代における人事・組織の実態調査」を実施。個人・組織・人事それぞれのAI活用状況や、業務への影響、活用が深まらない理由を多角的に調査した。
主な調査結果として、同社は下記のように伝えている。
個人・組織の活用状況の対比
個人では業務において68.2%が「ほぼ毎日」利用しており、個人レベルでは習慣化が進んでいる。一方、組織での活用状況は「個人単位での利用が中心」(31.7%)と「部門単位での活用」(27.4%)が大半を占め、業務プロセスや制度に組み込まれた活用は2割未満(18.9%)にとどまる。生成AIの利用自体は広がっているものの、多くの企業では組織としての意思決定や業務設計に接続されていない状態が続いていることが分かる。
AI活用が組織に根付かない理由
従業員のリテラシー/スキル不足が圧倒的に多く挙げられており(48.1%)、業務プロセスと紐付いた具体的なユースケース設計ができていない(39.0%)が次に多い。全体的には業務・組織設計に起因する要因が続いている。生成AIは導入されつつある一方で、それを組織の業務や意思決定に組み込む設計が追いついていない構造が確認できる。
人事部門のAI活用状況
人事部門のAI活用は「個人単位での利用が中心」が約46%と最多で、業務プロセスに組み込まれている状態は1割未満にとどまる。体制については、人事部門で生成AI活用を担う「体制がない」が61.1%と半数を上回り、DX部門や経営企画の支援も限定的なため、組織横断で人事AI活用を後押しする構造はまだ整っていない。
人事部のAI活用による変化
生成AI活用により、どの人事領域で変化・見直しが生じているかを尋ねたところ、中途採用(79.2%)が圧倒的に多く回答が挙がり、育成・研修(69.5%)、労務(64.5%)が続く。業務負担の大きさが関係している可能性もある。一方、報酬設計・タレントマネジメントなど、制度・判断を伴う領域では相対的にやや低い。
人事部門に不足している要素
最も多く挙げられたのが「AI・テクノロジーに関する知識・理解」、次いで「人事部内のリソース不足」が続く。「データ分析力」「プロセス設計力」「戦略策定力」など、AI活用を進める上で施策や業務の設計・推進に関わる機能についても、一定の不足感が示されている。「変革推進力」は、組織規模が大きいほど重要性が高まる要素として認識されていることが分かる。
なお、同社 代表取締役CHRO 門馬貴裕氏は、今回の調査の結果を踏まえ、「個人・部門単位での活用と、全社的な活用のあいだに、明確な段差が生じている状況。AI活用を組織全体に広げるには、業務プロセスや評価制度など“組織の基本設計(OS)”のアップデートが不可欠」と述べている。
調査概要
- 調査タイトル:「AI時代の人事・組織実態」調査
- 調査対象:企業に就業中の人事部門役職者・担当者
- 調査期間:2025年12月2日〜12月8日
- サンプル数:259名
- 調査実施者:株式会社コーナー
- 調査方法:Webアンケート調査
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